【妄想話】太郎・11話
「太郎・第11話」
「大丈夫。大丈夫。おばあちゃんなら行けるって!…知らんけど。」
「龍太郎、適当に言ってるじゃろ。」
「大丈夫やって。なっ。なっ?そうや!」
「なんじゃ?」
龍太郎はポケットから10万円を取り出し、指を一度舐めてからお札を数えた。
「1…2…3…4…5。おばあちゃん5万あげるから、代わりに行ってきて。なっ。」
龍太郎はおばあさんの手を握った。
その手には5万円が入っている。
「運転手さん、車出して。」
「ちょ、ちょっと。」
運転手はアクセルを踏んだ。
「行き先変更!鬼ヶ島じゃなく俺の家な。」
「あんたの家なんか知らん!」
黄色いタクシーはみるみる小さくなって、おばあさんの視界から消えました。
「あ〜あ。いっちまったか。それにしても龍太郎はなんで5万円なんか持っとるのじゃ?まだなん万かあったし…仕方ない。とりあえず鬼ヶ島へ行ってみるかのぉ。」
おばあさんは鬼ヶ島に向かって歩き出しました。
「この麩菓子が入ってるスーパーの袋、歩きづらいし邪魔じゃ。…捨てるか。」
麩菓子が入っているスーパーの袋を地面に向かって投げます。そして踏みます。
麩菓子が堅あげポテトぐらい硬く、形をある程度残したまま袋から出てました。
それをまた踏んづけました。
「鬼ヶ島はこっちに歩けばいいんじゃろか。」
つづく
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?