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ここ最近読んだ本のざっくり感想

☆『浮雲』/二葉亭四迷

!下宿先の叔母さんによる、仕事をクビになった文三へのものすごい説教。
まるでこちらも怒られているかのようにくどくど言われる。
文三、部屋に帰って泣く。実にかわいそう。

!団子坂の観菊(きくみ)での、おそらく作者個人の好みによる菊人形批判。
『子供騙欺の木偶の衣裳』とのこと。
しゃらくせえ行事が嫌いな私、とても共感。
!備考。
1887年(明治20年)から1889年にかけて発表。
言文一致の手法を取った日本文学の金字塔。


☆『破戒』/島崎藤村
(以下、原作の表記に従って『穢多』という言葉を使用しています。)

!要するに、破戒っていうのは「自らが穢多であると誰にも言うな!」という父の教えを破ることであった。

!穢多でなければもっと気楽なのになあ〜うわあ〜と悩みながら尋常小学校の教師職を全うする主人公・瀬川丑松、齢二十代半ば。

!冒頭に登場する郡視学は ぐんしまなぶさん ではなく、ぐんしがく?。
役職の名前か何かである。

!ラストは怒涛の土下座などマジで心が重いのだが、最後の最後、
ちょっと救われてよかったねという場面がある。

が、岩波文庫に掲載されている野間宏氏の解説を読むと、
「何か最後ぶんなげたよね」的な批判がなされている。
穢多はどう生きるべきか、というテーマは『破戒』では突き詰めきれなかったようである。それ故にこの作品が余計に差別を生んだとの見解も。

他人はどこまで他人の気持ちや行動を推し量れるのか、
そこには果たして限界があるのか等、なかなか考えさせられる一冊。

!備考。
1906年(明治39年)自費出版。
こちらも、言文一致の文学。


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