嵐が丘に想うこと
ケイト・ブッシュの『嵐が丘』(1978年)は、エミリー・ブロンテの同名の小説(1847年)の世界観をモチーフにした楽曲だが、初めてその両方に触れた高校生の私は痛く感動した。
まず先に原作の小説を読んでおり、(古典は手当たり次第に読んでいたため。そして必ず岩波文庫。)読み終わった後、母に「ケイト・ブッシュの曲聴いてみ?」と勧められ、当時図書館で借りたCDをプレーヤーにセットしてあら大変。
こんなにも原作の雰囲気を全面に包括した音楽があるだろうか?!、と。
某バラエティ番組の冒頭で使われているということで一部の人なら耳にしたことのある、ケイト・ブッシュ特有の甘い高音の歌声。ゆるやかに高揚し、あるいは愛の狂気を振るうキャサリン(歌の中ではキャシー)の心。
Heathcliff, it's me, Cathy
Come home, I'm so cold!
Let me in-a-your window
(ヒースクリフ、私よ、キャシーなの
帰ってきたのよ、凄く寒いわ!、お願い窓を開けてちょうだい…)
百年の時を超え、調和する『嵐が丘』。人の心とは常に移ろい、確実性のあることの方が意外に少ない。しかし、何つの時代でも共通する『確かな感情』を持っている。そして重なったケイトとエミリーの二つの感情は、さらに時間を経てなお、今確かに共鳴しているのだ……………………。
余談だが、私はそのせいですっかりケイト・ブッシュが好きになった。時に少女のような、時に女神、いや魔女のような、女性の神秘性を一抱えにしたようなケイトの歌よ。
ちなみにお気に入りは、アルバムなら『Hounds Of Love』(1985年)、
楽曲ではもちろん嵐が丘、「Night Of The Swallow」「Running Up That Hill 」「Hounds Of Love」「Jig Of Life」「The Man With The Child In His Eyes」、「James And The Cold Gun」「Experiment IV」、……いやまあ、もうどれも好きである。
…今夜もケイト・ブッシュを聴こう。
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