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思うこと345

 ロマン・ポランスキーは『チャイナタウン』(1974年)で出会った映画監督だが、とりあえず私はかなり『チャイナタウン』が好きで、そのくせレンタルして一回観たきりなのだが、ともかくまた観たいなあと思っている数少ない映画である。今回ホラーが見たくてレンタルした『ローズマリーの赤ちゃん』(1968年)だが、そもそもポランスキーだとは知らずに、何かよくホラー映画のおすすめでよく出てくるからという理由で選んだので、借りる時に監督名を見てびっくり。もしこの『ローズマリーの赤ちゃん』も気に入れば、もしかして私ってポランスキー好きなのかも?と謎のドキドキ感を味わいながら再生。

 俳優の旦那とでかい家をリフォームしたアパートに引っ越し、隣人夫婦のおせっかいに悩まされながらも子供を妊娠するローズマリーだが、周囲でやたらと変死する人がいたり、隣人から紹介してもらった産婦人科が信用できなかったりして、だんだんと「自分の赤ちゃんが危険に晒されている!」と思い、昔から懇意にしていたハッチ(おじさま)まで突然死。ハッチが生前渡そうとしていた悪魔の本を手にしてから、ローズマリーはさらに周囲への疑惑を深める…、みたいな話。

 見終わった後、印象深く思うのは、この話の中でローズマリーが感じる、「私の周りの人間は皆、悪魔の手下では?」と思ってしまう原因の数々は、
ごく普通に我々の日常でも起きていそうに見えること。要は、隣人のおばさんが作ってくれるデザートや薬草で作った薬の差し入れ、そのおばさんの旦那の耳にはピアスか何かの穴がある、壁から変な笛の音が聞こえる…等々。
要は、平素なら「ただのおせっかい」とか「そんなのはよくあること」とか片付けられてしまうけども、一度疑い出したら全部が「異様」に見えちゃうよね、的な。怖さとしてはホラー映画とはいえ、特に超常現象もないし、サイコホラーというか、まあ、私の好きな「生きてる人間こえぇ〜」という映画なので大変満足。

 ラストは、そうして疑ったけど違いました…、という展開ではなく、まさに疑った通りになっているので、やや拍子抜けに思う気もしたが、ラストで我が子を見つめるローズマリーの顔を見ていたら、何だかさらにゾッとしたのでそういうことなのだろう。そういう映画なのだ。←?

 ところでジャケットというかポスターのせいか、絶対に乳母車が出てくると思い込んでいた。あと、生まれた赤ちゃんが超能力で母を苛む話かな〜と謎の勘違いもしていた。例えば階段から乳母車がひとりでに駆け下りてきて…みたいなイメージ。この妙に鮮明なイメージは一体何だと記憶を遡ってみたのだが、もしかして『戦艦ポチョムキン』のオデッサの階段ではなかろうか?あれはひとりでに動いているわけではないが、「階段」「乳母車」「怖いぞ」というオデッサの階段での断片的な記憶が、勝手に乳母車を通して『ローズマリーの赤ちゃん』とリンクしてしまったのかもしれない…。まあ、全然関係ない話ですけど!

 そんなわけで今回も結構面白かったので、また是非ポランスキー映画を観てみようと思う。じっとりした映画はやはり良いものだ。


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