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ギフテッドの中学受験④中学受験か高校受験か

ギフテッド児が本質的に向いていない反復学習を強いられてまで中学受験をするメリットはなんだろう?精神的な成熟を待って高校受験に集中させた方が良いのだろうか?

世は空前の中学受験ブームだ。急速に減っていく人口、低迷する日本経済、勝ち組と負け組がはっきりする社会。わが子の将来に想いを馳せるほど、少しでも良い学校へ入れたいという気持ちは痛いほど解る。一方で過酷な中学受験は幼さの残る子どもにとって劇薬だ。親と塾からのプレッシャー、長時間の勉強、不合格になった時の精神的ショック。中学受験を回避して競争が少ない高校受験の方が、子どもに無用なストレスもなく楽に進学できる賢い選択だという話も聞く。しかし都市部に住むギフテッド児に限っては、中学受験をさせた方が良いと思う。

ギフテッド児が公教育の横並びの教育プログラムに合っていないことは明白だ。協調性を重んじ、突出した才能の扱い方を知らない公教育ではギフテッド児はひどく窮屈な思いを強いられる。受験をせずに近所の公立中学校へ進学すれば、小学校卒業後あと3年もそうした環境に身を置く可能性が高い。精神的なストレスと才能を抑圧するような環境が長引けば、ギフテッド児の才能は潰されてしまうだろう。

住んでいる地域が教育熱心な土地柄ということもあり、長男の通う区立小学校では学年の3分の2ほどが中学受験をする。裏返すと、地区の公立中学に通うのは割合としてあまり教育熱心でない家庭の子どもが多くなる。ギフテッドの長男が知的好奇心を共有できる友人を得られる可能性は低そうだ。思春期を迎えて親との関係も難しくなる時期に、学校生活でも生き辛さを抱えることはギフテッド児にとって非常に辛いことだと思う。

ギフテッド児にとって高校受験で重視される内申点が期待しにくいことも、中学受験を薦める理由のひとつだ。学校でのテストの成績がいくら良くても、集団行動が苦手で協調性がない点は内申書に大きく響くだろう。都内の公立高校を目指すなら内申点の悪さは致命的だ。最近の中学受験ブームの中で高校からの入学者を募集しなくなった上位私立校が増えていることも考えないといけない。

一方で中学受験ではギフテッド児の知的な早熟さが強みになる。中学受験の向き不向きは、知的レベルだけでなくその子が知的に早熟かどうかによるところが大きい。ギフテッドの長男は幼い頃から読み書きを勝手に覚え、手当たり次第に本を読んでは様々な知識を勝手に吸収していた。それは自然と理科や社会の勉強に繋がり、中学受験における大きなアドバンテージとなっている。これが高校受験になると、ほかの子どもたちも知的に成熟し、いわゆるあと伸びする子たちとの差が縮まってくる。だからギフテッド児の知的早熟さを武器とするなら、高校受験よりも中学受験の方が向いているのだ。

色々書いてきたけれど、それぞれのギフテッド児ごとに正解は違うのかもしれない。ただ、少なくない時間頭を悩ませ、家族で話し合った結果として、ギフテッド児には中学受験をする確かなメリットがあるし、ほかの子どもよりも中学受験に向いていると思う。

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