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誰かに代わりなんて務まるわけないから

ホテルで音楽を聴きながら化粧をしてた時に君が鼻歌を歌ったから、これ知ってるの?って聞いたら「あなたが勧めてくれた曲じゃん」と言われた。
あぁそうだ、私が君に聴いてみて!って勧めた曲だ。
聴くね!とは言われたものの本当に聴いてくれてたとは。
「歌詞が気まづくて1回しか聴かなかったけどね」と続けて言われたから、1回しか聴いてないのに鼻歌なんて歌える?と思ったけどなんとなく黙っておいた。


君に勧めたbacknumberの『こわいはなし』、
この曲はまるで君と私のことを歌ってるみたいだと思って、気に入ってよく聴いていた曲だった。
きっと私はこの先どんな人と出会っても、どんな恋愛をしたとしても、この曲を聴けば君のことを思い出すんだろう。



私がシャワーからあがったら君は寝落ちしてしまってて、普通だったらなんで先に寝ちゃうのよ!って怒るところだろうけどもうそれすらも愛おしかった。

髪を乾かしてベッドに入ると君は目を覚まして私を抱きしめてくれたね。
すっぴんを見られるのは1年ぶりだったからちょっとだけ緊張したけど、すっぴんも可愛いよって昔と変わらない優しい声で言ってくれたから安心した。


朝、私の方が先に目を覚まして布団から出ると少し空気がひんやりしてて、早く布団に戻りたいよ〜と思いながら歯磨きを済ませた。
布団に戻ると君は目を覚まして、おはよ〜と言いながら冷えてしまった私の足を自分の足で挟んで温めてくれた。

これが毎日続けばどれだけ幸せなんだろうと思って、少し切なくなった。


化粧と髪の毛のセットを終えた私を見て、「え〜なんか今日可愛い、あ、今日も、可愛い」と1人で焦ってる君が可愛かった。

さすが2年一緒にいるだけあって私の扱い方をよく分かってる。


君は、私が好きだよって言ったら大好きだよって返してくれる人だった。
喧嘩した時は必ず私より先に謝ってくれる人だった。
私のバイト終わりの数時間のためだけに新幹線で会いに来てくれるような、好きを行動で示してくれる人だった。
世界で1番だとか、紫苑ちゃんが僕の生きがいなんだとか、そんな恥ずかしい言葉を恥ずかしがらずに伝えてくれる人だった。

いつの日からか決まっていた君と私の立ち位置、
君が右で私が左
歩幅合わせるの苦手だからって、手を繋いで私に合わせてゆっくり歩いてくれるところ

電車での移動中、眠いと言う私に起こすから寝てていいよと肩を貸してくれるところ

私が泣いた時には涙を拭ってくれるところ

ほんとうは人一倍寂しがり屋で繊細なのに、私の前では強がるところ

私がお腹いっぱいになって残しちゃったご飯を食べてくれるところ

ディズニーランドでどのカチューシャにするか迷う私を急かさずに待ってくれるところ

君の後ろ姿の写真を撮った時に、「見せて見せて!今の絶対いい感じだったよね」って私のスマホを覗き込んでくるところ

私のわがままを聞いて苦手な観覧車に一緒に乗ってくれるところ

ぬいぐるみを抱いて寝ようとする私から、「僕がくっつけないからめーすけ(ぬいぐるみの名前)はどいててね〜」と言いながら取り上げちゃうところ

酔っ払うと君の指を噛んでしまう私の癖を、気持ち悪がらずにむしろ嬉しがっちゃうような気持ち悪いところ





恋人みたいな友達みたいなこの感じが心地よくて、誰といるよりも楽しくて、ずっとずっと一緒にいたいなって思ってた。
もっともっと君を知りたかったし、もっともっと君との思い出を作りたかった。
紫苑ちゃんが1番可愛いし、一緒にいて楽しいし落ち着くし性格が合うって言ってくれてたじゃん。
自分だけ好きな子作っていなくなるなんてずるいよ。

その子に気持ちが傾いてるのに、私と手を繋いだりそれ以上もしてほしくなかった。その子ってそんなにいい子なの?毎日のように会ってたから好きになっちゃっただけでしょう。





君が最後に会いに来てくれた日、そうやって私は君を責める言葉しか言えなかった。選ばれなかったことが悔しかったし、もう会えなくなることが悲しかったの。ごめんね。
でも私が泣いて引き止めることなんて分かりきってたはずなのに、ちゃんと最後まで私に向き合おうとしてくれてありがとう。君の誠意はちゃんと受け取ってたよ。

私と別れたあと、その子と結ばれたのかは分からない。けどその子と幸せになってることを想像するとどうしても辛いから、君の恋は上手くいかなかったと思うことにします。君の幸せを願えないこんな最低な私のことをどうか許してね。



幸せになってほしいとはやっぱり思えないし言えないけど、元気でいてほしいとは願ってます。
君はよく体調を崩すから心配なの。ラーメンとレッドブルはほどほどにね。

それと、自分のことを大切にしてくれる人のことだけを大切にしてほしい。無理してまでいたくない人といる必要はないんだよ。


就活はしたくなかったらしなくてもいいと思う。 卒論は少し大変かもしれないけど頑張れ。

辛い時はちゃんと周りに頼ってね。もちろんその相手は私でもいいよ。私はいつまでも君の味方だからね。
私はもう君には戻らない。というか、戻ってきたらだめだよって言われちゃったから戻れない。だけどもし君が頼ってきてくれたら全力で甘やかすし、力になれるように考えるよ。




君がいなくなってからの未来を想像するとちょっと怖いけど、君との思い出を糧にしてなんとか頑張ってみようと思います。
私は偉いから、大丈夫。それに、君に比べたら少ないけど私も素敵な友達たちに恵まれてるから1人じゃないです。社会人になっても少しづつ頑張るね。



最後に。
君の初めての彼女にしてくれてありがとう。出会えたこと、付き合えたこと、一緒にたくさんのことを経験できたこと、すごく幸せだったよ。君と一緒に写真に写る私を見る度に、幸せそうな私に嫉妬しちゃうくらいです。嫌なこと言われて腹が立つこともあったけど、それでも好きな気持ちは一瞬たりとも消えませんでした。
恋愛経験が少ない君にとって私はすごく扱いづらい人間だったと思う。私たちの関係が危うくなるその度に、君には大きな傷をつけてきてしまったよね。もういつからか、お互いに純粋な好きって気持ちよりも執着や依存の気持ちの方が勝ってたのかもしれない。それでも今まで一緒にいてくれて、いなくならないでくれてほんとうにありがとう。いっぱい笑わせてくれてありがとう。君の存在が私の支えだったよ。






あとね、君は気づいてないかもしれないけど、君の隣に似合う子も、君のことをこんなに一途に想える子も、この世界には私しかいないんだよ。実はね。
君のことが世界で1番好きでした。
ちょっとダサいところも含めて、ね(笑)



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