Rucca’s room

📕小説︎×アクセサリー アクセサリーとものがたりをつなげます。 ハンドメイド作品とリン…

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📕小説︎×アクセサリー アクセサリーとものがたりをつなげます。 ハンドメイド作品とリンクしたお話を書いています。 Instagramでアクセサリーなど写真掲載中。

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ごあいさつ| Rucca’s room

はじめまして。 Rucca’s roomの管理人Riekoです。 今日からRucca’s roomは「小説×アクセサリー」の活動のうち「小説」部分をnoteでスタートさせます。 Instagramではハンドメイド作品の写真を掲載中ですので、こちらも良かったら遊びに来てください。 ▪️Instagram https://www.instagram.com/rucca.s_room?igsh=enkyNjcwZWs2d2lt&utm_source=qr 今回は初めましてのご

    • 【小説】天体観測の夜に

      握っていたペン先が、横、ななめと進んで真っ直ぐ下におりて1周円を描く。一息おいて、点をうつ。 黒いラインがノートの上に文字を作った。 “な”と書かれた文字を去り、また次の文字へ。 横線をすうっと引いたところで、 「すみませーん」 と窓の外から声が聞こえた。 「す、み、ま、せぇーん」 もう一度、さっきより大きな声で誰かが呼んでいる。 大家さん、出かけているのかもしれない。 ルッカは椅子から降りてそっと窓の下をのぞき込んだ。 少し背伸びをしながらキョロキョロと周りをうかがっている

      • 線香花火 

        「これ終わったら線香花火ねー。」 「何本あるの?」 「8本!」 「えー。すくねー。」 夏休みの帰省時には恒例となっている、おじいちゃん家の庭での花火大会。 昨日、事前に買ってあった分は全部終わっていたけれど、 おばさんが仕事帰りにコンビニでもう1袋を買ってきてくれたので、今日もできることになった。 火花が勢いよく線を描いて噴き出し、火薬の匂いと煙がもくもくと湧き上がる。 従兄弟どうし、小学生3人の歯の抜けた笑顔が手持ち花火の明るいフラッシュに照らされる。 次々と火をつけ

        • はじまり-Rucca-

          風が吹いた。 風は住宅の間の道をぬって、坂を少し上がった先にある白い外壁のアパートへと向かった。 築20年のアパートの門の脇に立つ、二階の高さまである庭木の枝がその風に触れてサワサワと音を立てる。 枝の隙間を抜け、開け放した窓から入り込んだ風がカーテンをふんわりと持ち上げ、部屋の中へ吹き込んだ。 窓際の机の上に重なっていた紙がふいに飛びそうになったのを左手で抑えながら、彼女は右手に持っていたペンをくるりと回した。 入ってきた風に頬を撫でられて、眩しそうに目を細めて窓

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