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非常識なネズミ夫婦

次男の話の続き

東京には夫のトヨタのハイルーフのロングバンに
荷物を積込んで3人で行きました。

住むところは事前に私と次男で東京に行き決めていました。

家電製品は長男が学生時代に使っていたものを。
現地で買ったのは、洗濯機、物干し竿、カーテン他
細々したキッチン用品でした。
就職先も決まっていない息子に
【頑張れよ!】と言い残して、私達はその日のうちに帰りました。
私は心配で後ろ髪を引かれる思いでしたが、
うちのねずみは、何せ中学生の時に家出をして
それなりに生活を送って来た人ですから
19歳の次男も何とかやって行けるだろうと思っていたようです。
(どうしても駄目なら家に帰って来るだろうと考えていたのでしょう)

しかし、
甘やかされて育った彼も大変な苦労をしたようです。

水道の配管工事のアルバイト(余りにもキツイ仕事で辞めたよう)
その当時、芸能人が行く店と言う事で有名になった
モンスーンカフェのバーテンダー
(ここでカクテルの作り方を学んだらしい)
しかし、少しでもミスをすると
土下座で謝らせる事に嫌気がさして辞めたらしいです。
(その当時パワハラと言う言葉はありませんでしたから)

で最終的に、伊勢丹の中にあったアパレルショップで働く事になりました。
今から25年前の事です。

その時のオーナーの方とは今でも交流があるそうですが、

次男はその人の影響を強く受けて
キリッとしていた眉毛が細くなり
ロン毛になり
色白な肌は日焼けサロンに通って、ガングロになって行きました。

田舎者の私には美的センスは皆無ですし、
到底受け入れがたいものでした。
次第と都会の色に染まっていく次男でしたが、
普通半年位すると皆標準語を喋る様になると聞いていましたが、
1度も彼が標準語で話すのは聞いた事がありません。
(3,4年は東京で暮らしていましたが、東京で出来た彼女にも普通に関西弁に近い地元の言葉で喋っていました。)

そして、彼には彼女が出来ました。
経緯は聞いていませんが、
マラソンで有名な大学に通う大学生でした。
で、彼は考えました
今住んでいる所は神奈川で勤め先は立川に近いところ。

彼女の住むマンションは立川にありました。
彼女に家賃を半分出すから同棲(今で言うルームシェア)しないかと
相談すると「良いよ」と言うことで、
彼の思い通りになりました。
その話を聞いた時は驚きましたし、
娘を持たない私にもそれはとても親としても許されない事だと
思いました。
彼女の実家は東北にあり、とても裕福な家庭で育ったそうでした。

隣には大学生の兄が住んでいたそうで、きっと
親御さんは大切な娘を東京に出す条件として
兄の目の届く所に住む事だと言われたのでしょうね。

次男から引越しの手伝いに来てほしいと言われましたが、
車で東京に行くのは大変なのは前に経験してわかっていましたので
引越し業者にお願いしようかと思いましたが
色々確認したい事もあり、夫と車で東京に向かいました。

彼女の家に持って行くのは、寝具と衣装ケース3、4個と最低限の食器だけ。
残りの荷物は持って帰る事に。
折り畳みベッドは次男が高校生の時に買ったもので
便利だから使ったらと言いましたが、邪魔だからと言われ
持って帰る事にしました。
でも、もし別れることになった時に家財道具は必要なのに
どうするのか、とか身勝手な事を考えていました。

彼が住んでいたのは鉄骨造のアパートの2階の端で
南向きのベランダと出窓つきで出窓からは道を挟んで
結構有名な寺院が見渡せる静かな環境でした。

私は家賃も安くて気に入っていましたが、都心からは遠いし
騒音が酷い隣の家の人と喧嘩もしたりとか
次男は騒音が余り無いマンションに引越したかったらしいです。

アパートから荷物を運び出し部屋の掃除も終わらせて
彼女のマンションに着いた時は日も暮れていました。

開け放した玄関前を不思議そうな顔でこちらを
見ながら横切る若い男の人がいました。

その時初めて大学生のお兄さんが隣りに住んでいらっしゃる事を
聞かされました。

きっと妹の家に平気で荷物を運んでくる彼氏の親の非常識な行動に呆れたことでしよょう……

彼女のYちゃんは小柄でスタイルが良い、美人ではないけれど、
チャーミングな可愛い女の子でした。
クールで余りお喋りしない子でしたが、
言葉の端々から賢さが滲み出ていました

その日はホテルに泊まろうと思っていたのに
「布団もあるので家で泊まってくださいね」と言う言葉に
甘えさせて頂く事にしました。
次男も「明日は行きたい所に連れていってあげるよ」と
言ってくれましたので
ディズニーランドに行きたいと言うと
「じゃぁ、明日連れていってあげる」と言ってくれて
楽しみにしていたのに
疲れがあったのでしょう、
起きたのは昼前。
時間もないので、鼠ランドは諦めて、
一度サラブレッドの競走馬が見たかった私は
府中の東京競馬場に連れて行って貰うことにしました。
パドックを歩くサラブレッドの馬の美しさに感動し
広々とした綺麗な馬場に心躍らせながら
楽しい数時間を過ごすことができました。
Yちゃんに
「お世話になりましたね。有難う、今度は是非うちにも遊びに来てくださいね」と声を掛けて帰路に着きました。

彼女も息子も将来は結婚したいと思っていたようですが……

今思うと図々しくも彼女の家に息子を転がり込ませる手伝いをした
非常識な私達に罰を与えたい気持ちでいっぱいです。

見出しの写真は家族で行った長野県の乗鞍温泉スキー場












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