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【レビュー】vs北九州|J3 第6節【松本山雅2023】

素直に喜べるほどの快勝ではなかった。

そんな試合を、イングランド・プレミアリーグが好きで全試合観ている、戦術オタクな自分の視点で振り返っていきたい。



2023.4.9
J3 第6節

ギラヴァンツ北九州
×
松本山雅FC



~スタメン~

北九州(黄):4-2-3-1
山雅(白):4-2-3-1


~はじめに~

勝利は順当だったのかということ、そして、理不尽な状況に置かれている一人の選手について、書いていきたい。


~勝ったのはラッキー?~

得点について

・1、2点目
相手CBの守備が緩すぎた。

1点目は本村、2点目は村松が、小松のことを全くマークできず、フリーにさせてしまっていた。
(小松の動きは良かったけれども)
特に本村は他にも小松をフリーにしていたシーンがあり、だからこそハーフタイムで交代させられたのだろう。

・3、4点目
3点目は小松、4点目は村越のスーパーゴール。
すごいとは思うが、毎回決まるようなゴールじゃない。


4点も取れたのは、相手の守備の緩さに助けられた部分も大きい。


失点について

まず、2失点ともに直接絡んでいるパウリーニョは問題だと思う。

1点目はパウリーニョが急いで走らず、のんびりしていたせいで、ゴール前で相手にスペースを与えてしまっている。
(菊井あたりはカバーしてあげてもよかったとは思うけれども)
2点目は、パウリーニョと常田の連携ミスのせいで相手にシュートを打たせてしまっている。

パウリーニョは今のままでは心配だ。
2失点に絡んだから、というわけではなく、そもそもパウリーニョが改善すべき点は多い。


また、失点以外にも、ポスト直撃のシュートを何本も打たれている。
もう2、3点取られていても全然おかしくなかった。


まとめ

こう考えると、今回の勝利は純粋に自分たちの力によるものなのか、そもそも勝利に値していたのか、よく分からない。


~試合結果~

ギラヴァンツ北九州 2
4' 乾  49' 岡田
松本山雅FC      4
15' 小松  31' 小松  63' 小松  88' 村越


~山本vs下川~

置かれた状況が違う

この試合では、菊井や鈴木が左サイドへサポートするシーンがそこそこ見られた。

例えば、3点目のシーン。

鈴木が相手の右SB坂本の背後に走り込む。
そこに菊井からパスが出る。

菊井から、裏へ走る鈴木へ。

鈴木が起点を作ったことで、山本は余裕を持って狙いすましたクロスを上げることができる。
(クロスは相手に当たってるけど)

山本が余裕を持ってクロスを蹴ることができる。

このシーンでは、山本だけでなく、鈴木・菊井も含めた計3人が左サイドでの崩しに関わっていたため、敵陣深くまで侵入できていた。

このシーンのように、鈴木が左サイドで相手SBの背後に走り込むシーンが、この試合は何度もあった。
だからこそ左サイドでの攻撃はある程度うまくいっていたし、その攻撃に絡んでいた山本もいいプレーをしているような印象を受けた。


一方で、下川はこれまで十分なサポートを受けてきたかと言えば、そうではない

特に前節(鳥取戦)は酷かった。

下川がボールを持った時、鈴木は小松と共にファーサイドでただクロスを待っているだけだった。
菊井も、下川のサポートをしようと近づいていくのではなく、むしろ下川から離れるようにゴール前に向かっていた。

そのせいで、基本下川はサイドで1対2の状況になってしまっていた。

下川は常に1対2の状況を強いられていた。

そんな理不尽な状況で下川が活躍するなんて無理だ。


二人の考え方の違い

なぜ山本が活躍できたのかというのは、下川との考え方の違いもあるのではないか。

その考え方の違いは、ポジショニングの違いに表れている。

2点目のシーン。
山本は高い位置を取っており、相手DFラインの裏を狙う。
そこに常田からロングパスが出て、山本が小松の得点をアシストする。

山本が裏へ走り、常田からロングパス。

山本は、下川より攻撃への積極性が強い(時に強すぎると思うくらい)傾向がある。
だからこそ、このシーンでは高い位置を取っていたのだろう。


ただこのシーン、よく見ると菊井・鈴木・パウリーニョのポジショニングが全員悪いため、常田からのパスコースが一つもない。

菊井・パウリーニョへのパスコースは切られている。
鈴木は立ち位置が中途半端なので、パスを受けようとすれば相手のボランチに寄せられる。

山本と常田のタイミングが噛み合ったからこそチャンスが生まれたが、少しでもタイミングが合わなければ、常田がロングパスを出せないという可能性も十分あった。
その場合、パスコースがないので、常田はそのまま相手にボールを奪われ、一気にカウンターを受けることになっていたかもしれない。

上形に寄せられ、そのままボールを奪われていたかもしれない。

そんな状況でSBが上がっていくのはリスクが大きすぎる。

下川はリスク・リターンのバランス感覚がより強いと思っている。
そんな下川なら、このシーンでは低い位置で常田からのパスコースを作ろうとしたのではないか。

下川なら、きっと常田からのパスコースを作っていたはず。

山本はリスクを恐れずアグレッシブに上がっていったことで、今回のようにチャンスを作ることができたが、見方によってはその動きは怖くもある。


では、山本と下川のどちらの方がいいのか。
一概には言えないが、どうしても得点がほしい状況では、山本の積極性は武器になる。
ただ、それ以外の場面では、下川の方が安定しそうではある。


守備面

実際、山本の守備に関しては軽いなと感じさせるシーンもいくつかある。

57:11のシーンでは、判断を見誤ったせいで飛び出してしまい、相手に背後を取られている。
また、60:50のシーンでは、上がってくる相手選手に全く気づかず、簡単に裏を取られてしまっている。

60:50のシーン。
シンプルに背後を取られる。

特に60:50のシーンは、そのまま失点しかねない、非常に危険なシーンだった。

下川だったら、これらのシーンは起こらなかったかもしれない。

下川がスタメンだったこれまでの5試合では、たった2失点。
この安定感に、下川は間違いなく貢献しているはずである。


そもそも

山本が高い位置を取っていたからこそ、ロングパスからチャンスが生まれた。

ただ、そもそも、ロングボールでチャンスを作りたいのであれば、下川にもそう言えばいいはずである。

監督が「常田にはロングボールを蹴らせるから、下川は前線で待っていてくれ」と指示を出せば、下川だってきっと高い位置を取ってくれるだろう。

でも下川はそうしていない。

それは、あくまで下から繋いで攻撃しようというのがチームのやり方だからではないのか。
だから下川は下がってパスコースを作ろうとしているのではないのか。


だが、そもそも、下から繋ごうとしている割には、ビルドアップに安定感がない。

2点目のシーンでは、菊井も鈴木もパウリーニョも、誰一人パスコースを作れていなかった。
常田には、山本にロングボールを蹴るという選択肢しかなかった。

しかし、「常に複数の選択肢を作り、相手にどこを守ればいいのか分からなくさせることによって、前進していく」というのが、あるべきビルドアップの形である。

ロングボール以外の選択肢が一つもないという状況は、ビルドアップを志すチームなら起こってはいけない。


今の山雅は、前線の選手が時には下りて受けにきたり、時にはただ前線で待っていたりと、とにかくビルドアップが安定しない。

それは、仕組みが足りていないせいで、選手任せになりすぎているからではないのか。

だからこそ、起用する選手によって大きくサッカーが変わってしまうし、同じ選手でも試合ごとに内容が変わってしまう。
そのせいで、いい試合をしたかと思えば次の試合ではイマイチ、みたいなことが頻繁に起こってしまうのだろう。


~終わりに~

「守るべき選手は守る」というのが、自分がブログを書く目的の一つでもある。

下川は守られるべき選手だと思っている。
下川が、チームに一番振り回されているように見えるから。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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