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【山雅】vsFC大阪|J3 第9節【レビュー】

イングランド・プレミアリーグが好きで全試合観ている戦術オタクによる、松本山雅のレビュー。



2023.5.3
J3 第9節

松本山雅FC
×
FC大阪



~スタメン~

山雅(緑):4-2-3-1
FC大阪(白):4-4-2


~はじめに~

攻撃はほとんどうまくいっていないけど、なんやかんやで1点奪い、守備陣の頑張りと相手の決定力不足に助けられ、1-0で逃げ切る。

この感じ、なんだか去年を思い出す。


先制点を取ることができれば、相手は前に出てくるしかないので、むしろカウンターで追加点を狙うことができ、優位に試合運びができる。

先制点を取られてしまうと、相手は無理に出てこなくなる上に、山雅はしっかり守る相手を崩すことができないので、苦しい試合展開を強いられる。

山雅の戦いは、先制点を取れるかどうかのギャンブルになってしまっているという印象がある。

そんなことにならないように、ビルドアップできるチームを目指しているはずなのだが…


~ビルドアップ~

コメントから感じる違和感

――内容面ではハイプレスに苦しんで、ビルドアップでなかなかゴール前まで進めませんでした。本来であればしっかりと立ち位置を取りながらはがしていきたかったところだと思いますが、そのあたりはいかがですか?
綺麗なビルドアップをすることが目的ではなくて、勝つことが目的です。相手が我々のダブルボランチに6枚でプレッシャーをかけてきて、なかなかフリーの菊井を見つけられませんでした。後半は少し修正をして、相手も間延びしてくる、プレスも少し弱まってくる中で、そのときにしっかりと繋げればいいと思っていました。なかなか自分たちのペースで時間を進めることができなかったんですが、それならそれでプレッシングからカウンターとか、ショートカウンター、ロングカウンターで点が取れればいいと思っていました。

監督の試合後コメント

「ビルドアップがうまくいかなければカウンターで…」というような発言が時々見られる。

「本来ならビルドアップが上手いチームが、相手の予想以上の抵抗にあってうまく繋げなかったときに、別の手段としてカウンターで点を取りに行く」というニュアンスで言っているのであれば理解できる。

しかし、山雅は普段からビルドアップで崩せているわけではないし、ビルドアップから点を取れているわけでもない。

この試合でも相手は4-4-2で守っていた。
対4-4-2のビルドアップはもう十分経験を積んできたと思うが、それでも未だにうまくいく気配がない。

「ビルドアップがうまくいかなければカウンターで…」と言うが、逆にいつならビルドアップできるのだろうか。


可変の有無

ビルドアップの際、ボランチがDFラインに下りて3バックに可変する時もあれば、可変せずに4バックのままの場合もある。

可変するかどうかは、おそらくその場で選手たちが判断しているのだと思うが、まずその部分で時間がかかりすぎて、もたもたしている印象がある。

ボランチの二人のうちどちらが下りるのか
下りるならどこに下りるのか(CBの左?右?間?)
下りるなら、CBはどうポジショニングを取るのか
そもそも3バックを作らないのか

この辺りの判断・実行に大分時間がかかっていて、なかなかビルドアップが始まらない。
せめて、「下りるとしたら誰がどこに下りるか」くらいは決めた方が良さそうに見える。

選手たちがその場の判断で柔軟に、というのは理想かもしれないが、毎回一から考えさせてくれるほど、相手は時間を与えてはくれない。
決まった形がないというのは、程度によっては、それは柔軟ではなくただの無秩序なのではないかと思う。


無秩序と言えば、前節あたりから菊井が積極的にボランチの位置まで下りてきてビルドアップに関わろうとする姿勢が見える。
「菊井が下りてきた時はこのようにビルドアップしよう」という具体的な形を、今のチームは持っているのだろうか。

個人的には、ほとんどがアドリブに見える。


~試合結果~

松本山雅FC 1
74' 菊井
FC大阪   0


~どうしてもきつい~

毎試合のように問題を引き起こしてしまっている選手がいる。

それがパウリーニョである。

いくつかシーンを振り返っていきたい。


7:06

常田から野々村にパスが出る。
野々村はトラップする直前に首を振り、パスコースを探す。
野々村がパウリーニョの方を見た瞬間に、パウリーニョは目を合わせないようにするかのように首を後ろに振る。

野々村がトラップした直後、顔を上げてもう一度パスコースを探そうとする。
その瞬間、やはりパウリーニョは首を振り、目を合わさない。
しかも今回は結構長い時間よそ見をし続けている。

目を合わそうとしない・パスを受けようとしないということが、チームメイトを困らせているということを分かっているのだろうか。


7:18~7:35

パウリーニョはこの間ずっとFW島田の近くにいたり背後に隠れたりで、パスコースを作ろうとする姿勢が見えない。

最終的に安東がパスミスをして相手ボールになってしまうのだが、その際パウリーニョは「何をしてるんだ」と言わんばかりの仕草を見せる。

一連の流れがうまくいかなかったのを、安東のせいにしようとしないでほしい。


20:31

常田から野々村にパスが出る。
トラップする直前、野々村がパスコースを探すために前を向いたタイミングで、やはりパウリーニョが違う方向を向いてしまう。

その後、野々村から常田へパス。
常田がトラップして顔を上げたとき、パウリーニョは常田の方を見ていない。
だからパウリーニョへのパスという選択肢はなくなる。
一応その直後に目は合うが、手遅れであり、パスは出せない。


71:14

山雅の右サイドで張っている古川にボールが入り、相手のカウンターが始まる。

このとき、パウリーニョはのんびり走っているだけで、自分のすぐ背後を駆け上がっていく島田にしばらく気づけない。

だから代わりに山本が島田のマークにつくが、その分、ファーサイドにいる利根をフリーにしてしまう。
そして最終的に利根にゴールの目の前でシュートを打たれてしまう。

ビクトルはニアサイドに寄っていたため、ゴールはほぼ無人の状態だったが、相手の決定力不足に助けられたシーンだった。

パウリーニョがすぐ島田に気づき、全力で戻っていれば、こんな危険なシーンにはならなかったかもしれない。


72:29

山雅の右サイドで、パウリーニョの目の前を舘野が駆け上がっていく。

パウリーニョの前を通っていったため、さすがにパウリーニョも気づき、ついていくのだが、なぜか全力でついていくわけではない。

そのため舘野にパスが入り、クロスを上げられ、ペナルティエリア内でかなり危険な状況になってしまっていた。

舘野にパスが入ったタイミングで身体をぶつけてボールを奪えるように、しっかりマークしておくべきだった。


まとめ

たまたま起こってしまったミスなら気にならないが、パウリーニョの場合は去年から継続して見られる問題であり、今年も相変わらずである。

おそらく以前からずっとそうだったのだろう。

ただ、攻撃面に関しては、ビルドアップしないチームであればそれほど問題にならなかったのかもしれない。

守備面に関しては、全盛期の、もっと身体にキレがある頃であれば、多少遅れを取ったとしてもなんとかできていたのかもしれない。

しかし、年を取ってスピードがない今の状態では、一度遅れを取ったら(よりレベルの高い世界では)もう巻き返せない。
だから視野の広さや判断の早さを鍛えて、スピード不足を補わなければいけない。

でもパウリーニョにはそれがない。
おそらくこれからも変わらない。


この試合で安東が復帰したが、外れたのがパウリーニョではなく住田だったのは、個人的には驚きだった。


~終わりに~

「守るべき選手は守りたい」という話を以前もしたのだが、他の選手たちを守るためにも、パウリーニョの問題をはっきりさせておかなければいけないと感じた。

パウリーニョがこれらの問題を克服できればと思うが、それは厳しいのかもしれない。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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