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【読書ノート】『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』

『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』
町田その子著

「夏休みに入るちょっと前、近松晴子が、孵化した。」
という、よくわからない文章で物語は始まる。

近松晴子は、母親に捨てられ、祖母・烈子に育てられた。烈子は、常に晴子の味方で、いじめから守ってくれていた。晴子の同級生に
啓太(『カメルーンの青い魚』に登場する)がいた。晴子も啓太も片親という同じような辛さを抱えていたため、お互いに共感し合う存在となっていた。

晴子はいつも感情を内に秘め、静かな態度を保っていたが、ある日、彼女を侮辱した田岡という同級生に怒りを爆発させて、彼を徹底的に打ちのめすことになった。

チョコレートグラミーとは?
大きさがおよそ6センチほどで、茶色い体色を持つ熱帯魚。この魚の特徴的な繁殖方法は、マウスブルーダーと呼ばれる口内保育にある。つまり、親魚が卵を自分の口の中で保護し、孵化させるということ。

実は晴子を育ててきた祖母・烈子は認知症になってしまい、施設に入れられてしまった。だからこそ、晴子は自らがしっかりと自立していくことを決意した。烈子の庇護の元から離れ、自分自身を全力で人生をスタートし始めた。

物語の主題は何か?
どんな状況にあろうとも、覚悟を決めれは、自分の人生をスタートすることが出来るということ。


登場人物の置かれている状況が、あまりにも悲惨で、こんな酷い世界があるのだろか?と目を覆いたくもなるのだけどね。

寂しさというか、儚さみたいなものを感じさせられるのだけど、新たな環境で人生を切り開いていくという覚悟を感じさせられて、希望のあるエンディングにはなっていた。

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