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空気を読む脳

空気を読む脳
中野信子著
著者は、「ホンマでっか」でもお馴染みの脳科学者。

① 犯人は脳の中にいる
セロトニントランスポーターが低い日本人はまじめで自己犠牲をいとわない人々であるが、これが同調圧力の源なのかもしれない。日本では、ルールを少しでも逸脱した人がバッシングを受けてしまう現象がよく見られるが、根底にはセロトニントランスポーターが低いことが関与している可能性が指摘されている。日本人は集団の結束を美徳とする傾向があり、とくに最近は大規模な災害などに見舞われたことから「絆」を重視する社会にシフトされている。

② 容姿や性へのペナルティ
・外見で得をしていたのは男性だった。美人は人間ではなくモノとして扱われる傾向が強く、能力に劣ると思われてしまいがちなのだという。

・上意下達の組織では上の命令には絶対であり、言葉として明示されない意思を忖度する能力の高さが求められ、そこに「空気を読んで」行動することが良しとされる価値基準が存在する。個人を歯車扱いする社会

・オキシドシンが増えると妬みや憎しみの感情も強まってしまう。自分たちと異なる存在を認めさせない。

③ 褒めるは危険
子供を「頭がいいね」褒めると、失敗を恐れて挑戦しなくなってしまう。努力や時間の使い方の工夫を褒めるべき。

④ 幸福度が低い日本人
セロトニントランスポーターが低いことが関係していると考えられるらしく、幸福度を高めると逆に寿命を短くしてしまう可能性もあるのではないか?長寿は良心的で、慎重で注意深く調子に乗らない。長寿でなかった人は陽気で楽観的。

私自身、中学生くらいのときには、学校の集団行動や絆を非常に強調されるやりかたに反発を感じていたこともあり、著者に親近感を感じた。
日本の社会で生きていくうえで、同調圧力は避けられない。適度な距離感を確保して、自分を守るすべを身に着ける必要があるのだと思った。

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