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低空飛行のお弁当づくり #ハッピーになるかもしれない朝エッセイ

あまり大きな声で言いにくいご時世だけど、昨日は飲み会だった。
呑むのが好きなんで、次々に、おいしそうな地酒を出されたら、試さずにはいられないじゃないか。
仕事関係の年配の方との会だったんだけど、年配のおじさんは、どうしてあんなにお酌が好きなんだろう。ほんとは、好きにちびちび呑みたい派なんですよ、私。
気が付けば、いつもより飲む量が増えてしまって、ほろ酔いを通り越して、酩酊状態に。

案の定、二日酔いとまではいかないけれど、今朝はちょっとぼーっとしてる。
でも、いつもの時間に布団からよいしょと起きた。
朝ごはんと弁当を作る。
酔っぱらって帰って、炊飯器のタイマーのセットを忘れたので、冷凍ご飯をチンして焼きおにぎりを作る。豆腐とわかめの時短みそ汁。
夕べ酔っぱらったふらふらの頭で考えた献立だけど、なかなか良い。

「お昼ごはんは、何を食べてる?」
昨日の飲み会で聞かれた。
「弁当です」と答えると、
「へぇ! 毎朝作ってるの!? そりゃ、すごいね」
思わぬ褒め言葉を頂いた。そしたら急に照れくさくなって、
「いやー、高校生の子供の弁当のついでですよ」
と、ごまかした。

毎朝、子供二人と自分の分の弁当を作っている。
息子が高校生になってから、2年数か月。
保育園時代も、小学校、中学校でも給食があったので、自分が早起きして、毎朝弁当を作れるのか心配だったけど、低空飛行ながらなんとか続いている。
始めの頃は、慣れなくて失敗も多かった。
時間の読みが甘くて、出発ギリギリになったり、作り置きを余らせたり、冷凍食品を大量に買い込んで冷凍庫がパンクしそうになったり。献立が思いつかなくて、炒め物ばっかり入れてしまったり、味付けが似てしまったり。
時には、作るのがめんどくさくなって、週の半分以上、コンビニで買わせたり。

だけど、ここ最近は、ほぼ毎朝(週に1回くらいはサボるけど)作っている。自分がダイエットを始めたせいもあるのだけれど、もう一つ大きな理由がある。

我が家は、残業、出張ありのフルタイムの共働き家庭。
平日の夕食は、実家の母に作ってもらっている。子供がまだ小さかったころは、自分で作っていたんだけど、ある時、仕事と家事と育児のハードワークに疲れてしまって、体調を崩したことがあった。それを近所に住む母が心配して、夕食づくりを買って出てくれた。
以来十数年、母が毎晩、夕食を作って、夫か私が取りに行くという生活スタイル。
母は母なりに、夕食づくりを楽しんでいるようで、料理雑誌やテレビ、ネットでレシピを見つけては挑戦して食べさせてくれる。ありがたいなと思う。

「おふくろの味って記憶がないんだよな。僕の中の家庭料理は、ばあちゃんの味だな」
我が家と同じような共働き家庭で育った夫は、母親の料理にあまり思い出がないらしい。
それはちょっと寂しいなあと思った。

もちろん、毎晩食べる「ばあばの味」も覚えているのも素敵なことだ。
でも、できれば、うちの子供たちには「あれが母ちゃんの味だった」と思い出せる何かを残したい。

私が、子供に料理を作って食べさせられるのは、朝ごはんと週末の晩ごはんと昼のお弁当。
週末の晩御飯は、夫のリクエストも入るし、自分もお酒が呑みたいので、ついつい大人優先の献立(つまり酒の肴)になってしまう。

それに息子はもう高校3年生。
お弁当作りも、来年春にはおしまいなのだ。

息子に何か「母ちゃんの味」を残せたのだろうか。
あと数か月で、何か残せるだろうか。
それに気づいて、今更ながら焦っている。
だから、今朝のように、飲み会明けで多少しんどくても、起きて弁当を作っているというわけだ。

「今日の弁当の混ぜご飯がうまかった」
先日、息子が唐突にLINEで知らせてきた。
特別な料理じゃない。ただ切ったウインナーを炒めてご飯に混ぜただけの料理。ご飯が足りなかったから、かさ増しにウィンナーを追加しただけ。
それがうまかったというのだ。

はは、それが息子の「母ちゃんの味」か。笑える。

「ほんとは、ママの弁当の中身、どれも全部うまいんだって。『だけど、それ言わんとママには伝わらないよ』ってアドバイスしといた」
息子のLINEのメッセージの件を夫に話すと、夫がからくりを教えてくれた。そうか、それで唐突に今日入れた混ぜご飯を褒めてきたのか。

なんかそれもひっくるめて、うれしかった。

別に「これが母ちゃんの味!」なんて言われなくてもいい。
大人になって「ああ、そういや、毎朝弁当してくれたなあ」と時々思い出してくれたら、もうそれでいいな。

低空飛行のお弁当づくりは、今日も続く。

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今朝は、スパゲティナポリタン弁当。(二日酔い気味の母の体力の限界)

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