本棚からみえるもの
本棚というのは、その人の内面が非常によく現れる。
何に興味があるのか、何が好きなのか、何に悩んでいるのか、一目瞭然。
久しぶりに自分の本棚をじっくり眺めてみた。
数年前の私の本棚には、ハウツー本と自己啓発本ばかりが並んでいた。それに気づいて少しずつ変えてきた。
今はほとんどない。エッセイ風のダイエット本と自己啓発本は多少残っているが、明らかな「これさえ読めば全て解決する」的な本は一つも残っていない。
本棚には、私の好きなものがたくさん詰まっている。
料理エッセイやマンガ、人が殺されない小説、本の本、日本の古典文化、日本語の事典、手芸本、楽譜、大好きな人たちが作った本。
最近は、多感な時期に興味をもって読んでいた本を買い戻したりもしている。
本棚にハウツー本や自己啓発本が並んでいた数年前までの自分は、他力本願で、運任せで、努力をしない人間だった。そのくせ、やりたくもないのに、英話の勉強してみたり、”意識の高い”趣味を探したりして、何者かになろうとしていた。
今は、どうだろう。
楽しく料理をするために料理の本、知りたいから古典の本、手芸がしたいから手芸本、生き方を学びたいから小説やエッセイ。
なるほど、当時と比べるとかなり自発的になったようだ。
自己啓発本やハウツー本から正解を知るのではなく、行動し、答えを探すようになった。そして、世の中に正解はないのだと理解できるようになった。
また、本棚を眺めて思うのは、自分の中に、好きじゃないものを入れても、血肉にはならないということ。
「私」という器に入るのは、私の好きなものだけだということだ。
あれほどたくさんの自己啓発本を読んだのに、何も成功していない。本に書かれている「正解」をきっちり実践できていれば、今頃、大成功していたかもしれないが、結局、読んで成功した気になっただけだった。
英語の教材だっていくつも買ったのに、未だに中学英語すらおぼつかない。高尚な趣味は見つかっていないし、運もつかない。仕事もポンコツのままだ。
本好きが高じて、去年、8か月かけて図書館司書の資格を取った。勉強と仕事の両立は思った以上に大変で、平日は朝5時に起きて2時間勉強し、週末はレポート作成。本当に大変だったけど、充実していて楽しかった。
おかげで、図書館に行くのが今まで以上に楽しくなったし、本がもっと好きになった。
私の今の仕事には何の役にも立たないので、端から見れば、相当な「時間と金の無駄遣い」。でも、それが私にとっては好きなもの。
そんな「好き」こそが人生に彩りを与えてくれる。
好きなものだけが並んだ本棚の本は、今の「私」というサラダボウルに入った色とりどりの野菜のようなもの。見た目にも栄養的にも、自分を豊かに元気にしてくれるのだ。積ん読だって、興味があって手にしたものなのだから、読まなくてもきっと血肉になっている(はず!)
そう思って、自分の本棚を眺めて一人悦に入っている。
あなたの本棚にはどんな本が並んでいますか?
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