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我が家の金メダルを目指して

いま、東京ではオリンピック真っただ中。
地方に住んでいると、全く異次元の話。東京だろうがアメリカだろうが、アフリカだろうが、テレビの向こうの世界であることに変わりがない。
たぶん、無観客じゃなかったら、友人知人の中に新国立競技場へ行く人がたくさんいて、もっとリアリティがあったのかもしれない。

新聞やネットニュースでちらちらと見る限りの情報だけれど、スケートボード競技で10代の日本人選手が金メダルをとったらしい。

「13歳だって! すごいよねえ」
娘が今朝の食卓で、感心したように言う。
「そうだね」と軽くあいづちを打ったのを聞いたのか、聞こえなかったのか、かぶせるように娘が続ける。
「自分よりずっと年下の子が金メダルを取るなんて、信じられない。私が13歳の時はなんもしてなかったよ」
そういって、13歳の女の子の世界一を褒めたたえた。

ちょっと感動した。
オリンピックの金メダルより、娘に。
1、2年前の娘なら、きっと金メダルを取ったその子の栄冠が羨ましくて、何にもしてない自分と比べて妬ましくなって、彼女を悪く言ったり、すねてたりしていたはずだ。

でも、今日の娘はそう言わなかった。
17歳になった娘は、13歳の時の自分をちゃんと認めて、相手の努力を想像できるくらい大人になっていた。親として、それがうれしかったのだ。

若くして世界一になる人は、小さいころに、その才能と、才能を見出すチャンスと、努力し続けられる環境の3つの「運」を持っているんだと思う。
みんなが世界一にはなれないけれど、何かの特技を持つということは、そういうことかもしれない。

でも、成功は運だけじゃない。

私の妹は小学生の頃から字がうまかった。
書道教室に通ったら、みるみる級が上がって、先に入った私はあっという間に抜かされた。先生はいつも妹の才能をベタ褒めで、「本気で書道をやらないかと」何度もしつこいくらい勧めていた。

けれど妹は、教室を数ヶ月で辞めた。
理由は「先生が頑張れ頑張れウザイし、書道なんてつまんない」から。
妹は今も字も絵も上手い。もし、あのまま続けていたら、本当にすごい書道家になっていたかもしれない。
でも興味が持てず続けなかった。努力もしなかった。だから、今は普通の人だ。

才能は必要だ。でも、才能だけじゃ大きな成功にはたどり着けない。
一番大事なのは、苦しくても辛くても、続けることだ。

娘にはやりたいことがあるらしい。
今のところは、周りからも「できる」と期待されて、彼女なりに、いま一生懸命、受験勉強を頑張っている。やめずに、ほうりださずにまだ続けている。毎日勉強を続けるのだって簡単なことじゃない。
時には、「勉強なんか嫌い。やめたい」と親に泣きつく日もある。
だけど、また次の日になったら、黙って学校に行き、塾に行き、朝早くから勉強している。
何かを成し遂げるために頑張ること、努力し続けることの大変さを、いま身をもって感じていることだろう。

そうか、だから、金メダルをとった13歳の子の頑張りをちゃんと理解できるようになったんだ。こうやって、子供は少しずつ大人の階段を上がっていくのか。

夢へのキップを手に入れる大学受験は、たぶん娘のオリンピックみたいなもんだ。才能と、才能を見出すチャンスと、努力し続ける環境、3つはもう揃っている。
あとは努力し続けるだけだ。
そのために、家族みんなで応援するよ。
頑張れ受験生、君のオリンピックはここからだ。

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