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昨夜、車でぶっとばした

正直、「詩」というものは文章と違って情報量が少ないし、論理的じゃなかったりするので、苦手。恥ずかしながら、あまり読んだことない。唄の歌詞とかは好きだが。

でも何故か90年代に、アメリカ現代詩集みたいな本を一冊持っていて、その時も、だいたいの詩がよくわからず、本も捨ててしまって今ではすっかり忘れてしまっているが、ひとつだけ短い詩がなぜか印象に残っている。短かったからか、手帳にメモってあった。これがそれ。


"Last Night I Drove A Car" by Gregory Corso                         

Last night I drove a car not knowing how to drive not owning a car 

I drove and knocked down people I loved …went 120 through one town

I stopped at Hedgeville and slept in the back seat …excited about my new life


Wikiで調べたが、この詩人のデータはあまりなかった。50年代から60年代のヒッピー・ムーブメントの人か。

グレゴリー・コーソ(Gregory Corso、1930年3月26日 - 2001年1月17日)は、アメリカ合衆国の詩人、著作家である。1930年3月26日、グリニッジ・ヴィレッジに生まれる。1950年に酒場でアレン・ギンズバーグと出会ったのち、ジャック・ケルアックやウィリアム・バロウズを紹介される。ビート・ジェネレーションの一員として活動した。2001年1月17日、前立腺癌によりミネアポリスで死去。 (wikipedia)


意訳を試みた。

「昨夜、車でぶっとばした」(グレゴリー・コーソ)

昨夜、車でぶっとばした。運転の仕方も知らないのに、車も持っていないのに。

車でぶっとばして、愛していた人たちをなぎ倒した。。。ある街なんか200キロものスピードで突っ走ってぬけた

岐阜の山奥の街で止まって、後部シートで寝た。。。自分の新たな人生に興奮しながら


この詩、なにか深~い人生の含蓄があるというより、若いときの人生の大きな決断を実行した後(会社に辞表を提出するとか、大恋愛の片思いの告白をするとか、ベンチャーを起業するとか)、その自分の大胆な行動に「とうとうやっちまったよ」とそれが周りにもたらす波紋に一瞬躊躇しながらも、決断の一大事に興奮し、新たな門出にひとりニヤニヤっと笑う、そんな瞬間をうまく表してるなあと思う。

自分も最初の会社に辞表を出したとき、こんな気分だったか。若いときの、えいやの大きな決断は、ともすれば周りの人達を当惑させ、もしかしたら傷つけ、200キロでぶっとばすような無茶もする。無免許運転みたいに、世間の仕組みがわかってないのに、持ってもいないものを運転するんだという。

原文の最後の停車地ヘッジビルはぐぐったらケンタッキー州とあったので、テキトーに岐阜の山奥に訳してみた。東京からかなり離れた人知れぬ街という感じかなと。went 120 はたぶん、時速120マイルで突っ切ったということと想像、1.6をかけて時速200キロ。

誰か、メロディつけて唄ったりしてないかな。詩人の没地ミネアポリスにちなんで、トム・ウェイツとか唄ってたりするといいが。まあ、そうなると、酔っぱらい運転の唄になってしまうが。。。

(タイトル写真は、Noteライブラリーでドライブで出てきたなかから、一番いい感じのものを拝借)


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