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【映画】ザ・ギフト(2015)

特に予定のなかった土曜日夜、久しぶりにネットフリックスでもぼぅっと見ようかと、なにも内容知らずに見た映画。えらく、怖かった、サスペンス・スリラー。人生の残酷さ、いじめの悲惨さ、若い頃のちょっとした過ちのいじめが何十年もたってから復讐へとつながるという怖さ。お勧め。

何度も届く、恐怖(ギフト)。新天地で幸せな家庭を築く夫婦サイモンとロビンの前に現れた、夫の同級生と名乗る男・ゴード。再会を喜び、二人に「ギフト」を贈り始めるゴードだったが、徐々にエスカレートしていくギフトに、二人は違和感を覚える。やがて夫婦のまわりに異変が起き始め…ついに二人はゴードが仕掛けた恐ろしいギフトの真相を知ることになるのだった--

アマゾンプライムのサイトより

Netflixからのメールで、TVシリーズのオザークの主演の Jason BatemanがでるBlack Rabbitというのが coming soon だと書いてあったので探したがまだリリースされてないようで、この役者の名前ででてきたのが、この2015年の映画。

Jason Bateman というのは不思議な俳優。中年の、アメリカの地方都市で活躍するまじめそうな会計士とかやらせたらぴったりで、人当たりもいいが、その愛想のいい人の好さそうな中に、底知れない悪さをひそめたような役をやらせたら他にいないというくらい上手い。

この映画は2015年だから2017年に始まった、米TVシリーズの犯罪ドラマのオザークの前か。なるほど。

オザークは、善良なシカゴのフィナンシャル・プラナーがメキシコのドラッグカルテルとかかわりをもってしまい、シカゴを離れた避暑地オザークで、犯罪組織と泥沼のような人生を送るドラマ。

ごく普通の市民の主人公が、カルテルに殺されないためにサバイバルでマネロンの知恵を働かせて、カルテルに資金洗浄でよりそうように見せて裏をかいたり、意図せず人殺しに加担したりしながらも、家族で必死に生き延びていくという不思議な傑作。時に自らの奥深くにあった犯罪性やしぶとさやワルの部分を顕在化させながら。

個人的にここ数年、米TVシリーズで一気見ではまったのは、ワシントンの政治ドラマのハウスオブカーズ、ニューメキシコの麻薬犯罪ドラマのブレイキング・バッド、そしてこのカンザスの犯罪ドラマのオザークの3つだけ。

Jason Batemanは、オザークでのその一見善良な普通のアメリカの地方都市のフィナンシャル・プランナーの役へとつながるようないい演技を、この映画でみせていた。Ozarkよりもこの映画での役は、本質、もっとワルな役だったともいえる。そのズルさワルさが、因果応報で自らに戻ってくるという怖い話の映画。それがサスペンスタッチで丁寧に、演技派の俳優たちがリアリティをもたせて演じている。

こちらはまったく予備知識なかったので、まったく筋書きが想像できなかった。伏線にそった予想に合うようで、予想外の展開。最後までわからなかった。いやー、最後は驚いた。

むしろ、もっと普通のわかりやすい復讐劇で犯人役?が圧倒的な陰湿な復讐をするかと思ったら、案外そうではないかなと思ったら、実は驚くほどの復讐を果たそうとしたりして、こちらもだんだん悲劇の主人公への感情移入はできないくらい主人公はゲスなやつだとわかってきているので、犯人役よ、よくぞ復讐を果たせたなと思ってしまう。

やはり、弱肉強食の現代社会であっても、弱者にも優しさをもって生きていこうとする「善」な生き方が、手段をかえりみず力任せに周りを翻弄してのし上がる自分勝手な一見「人生の成功者」のやつらよりもまっとうなんだという、映画が言わんとしているモラルがよかった。それが、痛ましいドラマでの「救い」だった。精神的に不安定で揺り動かされながらも自分の良心に従って生きている奥さんの存在にも、救われた。

案外、後味は悪くない映画でした。観てる間は、はらはらどきどき、派手なアクションはないけれど、怖~い映画でありました。 ■


https://note.com/rubato_sing/n/n1a629985f93b


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