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表と裏の使い分け

“チルドレン”という伊坂幸太郎の小説があります。その中に、「子どもは集団になると別物になる。だから、チャイルドの複数形はチャイルズではなく、チルドレンなのだ」というセリフがあり、なるほどと感心しました。

考えてみると、これは子供に限った話ではありません。1対1で会うときと、集団で会うとき、同じ人でも雰囲気が違うことがあります。中には、別人のように変わる人もいます。どちらが表で、どちらが裏かは分かりませんが、相手の裏の顔にショックを受け、裏切られたと感じることもあります。イメージとは違う一面を見た時、人間不信に陥るのかもしれません。

しかし、そもそも1人の人間の中にも色々な面があることは自然で、どんな人でも多少は使い分けて生きています。個性や人柄のことを英語でパーソナリティと言います。この語源は、ペルソナだと言われています。ペルソナの意味は、仮面です。人は相手や場面によって見せる顔が違う。仮面を付け替えて生きている、ということから派生したそうです。表も裏も含めて個性というのでしょう。

社会で生きるためには、色々な面を使い分けることが求められます。苦手な上司に飲み会に誘われ、「気まずいから行きません」と言うと人間関係に溝が生まれます。「残念ですが予定があって、、、また今度誘ってください」と言っておいた方が良い関係を保てます。これができる人は世渡り上手なのかもしれませんが、やりすぎると気苦労も多いです。反対に、使い分けが苦手な人はぶつかることも多く、生き辛さを感じるかもしれません。一方で、態度が一貫しているので接する側に安心感を与えるメリットもあります。

いずれにしても一長一短。どちらが良いということもありませんが、人間がそもそも多面的であることを忘れると、裏切られたと感じる機会も増えてしまいそうです。

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