見出し画像

カウンセリングは何をしているのか②

カウンセリングは、基本的に答えを与えるコミュニケーションではなく、引き出すコミュニケーションをしています。
なぜそうするかというのは、心理的な問題の特徴と関係しています。

心理的な問題をどうやって解決するか?について、これまで多くの研究がなされてきました。しかし、ほとんどの問題について、これさえやっておけば解決するといった方法は見つかっていません。人はそれぞれ違うので、解決に結びつくための方法もそれぞれです。個別性が高いので、全ての人に当てはまる法則に落とし込むのは困難なのです。

ですから、それぞれ個々に正解を見つけていくことになります。与えるコミュニケーションではなく、引き出すコミュニケーションの必要性はここにあります。心理的な問題は、本人の中から、本人にフィットした方法を見つける方が合っているのです。

ただし、引き出すといっても、いきなり正解を見つけられるとは限りません。確率が高そうなものを見つけてきて、試しにやってみる。そして、どうだったかを検証することになります。つまり試行錯誤をどれだけできるかがポイントになるのです。

試行錯誤が必要なのは、心理的な問題に限らないかもしれません。パソコンの動作が遅くなったとき、Wi-Fiの接続が悪いのか、パソコンの容量がいっぱいなのかと試行錯誤します。しかし、何をやってもうまくいかない状態が続くと試行錯誤する気力がなくなってしまいます(これを学習性無力感と言います)。そして、カウンセリングに来て相談するメリットの一つは、一緒に考える人がいることで、試行錯誤を続けやすくなることでもあります。

カウンセリングの役割は、本人にフィットした解決方法を引き出すことにあります。そして、それを試行錯誤し続ける気力を保つことにもあります。そういう事情があるので、専門家だから正解を知っているのだろうと言われると、期待に応えることはできないのですが、心理的な問題が生じた際に力になることはできると思っています。

関連記事「カウンセリングは何をしているのか①

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?