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本まとめ:コッターの『リーダーシップ論』で読み解く、変革のための3つの条件とリーダーの頭の中


ハーバード・ビジネス・スクール(略して"HBS"というらしい)で、有名なリーダーシップ論の論者。
読前の評判は、同じことを言い方を変えているだけだというので、色メガネをかけながら一読。今、取り組んでいる組織改革に役立つ示唆を読み解く。

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(1)リーダーシップとマネジメントの違い

1つの大きな論点は、<リーダーシップ>と<マネジメント>の違いがある。課題・人脈・遂行という3つの視点からまとめると、以下の違いがある。

リーダーシップ
課題→ビジョン・戦略
人脈→横のつながり
遂行→動機づけ

マネジメント
課題→計画・予算
人脈→階層
遂行→統制

マネージャーは、このリーダーシップとマネジメントの双方を問われるが、こららを相互補完の関係にすることを意識できることが大事となる。

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(2)組織変革で成果を収めるのための8つのプロセス

大きな成果を組織変革で収めるためには、つぎの8つのプロセスを順に追う必要がある。

1.メンバーの『危機意識』の醸成・共有
2.強力なチーム編成
3.『ビジョン』の作成
4.『ビジョン』の周知
5、『ビジョン』の実現に行動できるようにする(権限委譲)
6.短期的効果の提供と懐疑的なメンバーへの説明
7.取り組みの加速化(エンジン)と下地作り
8.組織文化に根付かせる

このプロセスを順に確実に進めていく必要がある。『危機意識』と『ビジョン』の達成の目安としては、
・ 危機意識は全体の75%は持っていなくてはいけない
・ ビジョンは5分で語れるようになっていなくてはいけない

経過において陥りやすい過ちには
・ 過去の成功体験を暗に繰り返してしまう
・ 実事例が少なく、どんな人でも間違うことがある
・ 早期に勝利宣言をしてしまう

早々に次のステップに先急ぐのではなく、ステップを丁寧にクリアしていくことが重要。

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(3)抵抗勢力に立ち向かうための6つの対処法

変革には、必ず抵抗勢力があり、困難は丁寧に排除していかなければならない。排除のための常套手段が6つある。

A.教育とコミュニケーション:誤解や情報不足による抵抗の場合に納得してもらう
B.参画と巻き込み:抵抗している相手が相当の力を持っている場合、参画させ、意見や情報を取り入れる。
C.援助と促進:適応できない人の抵抗には、リフレッシュや訓練の機会を設け適応できる機会を与える。
D.交渉と合意:変革によって損になることが明らかな場合、交渉条件を提示し、実施の合意を得る。
E.操作と取り込み:イベントを起こしたり、メンバーに取り入れることで、参加したいと思わせる
F.直接的強制と間接的強制:はっきりともしくは遠まわしに脅しをかけて、無理やりに変革を受け入れさせる。変革の主導者が大きな力をもっている場合に有効。

これらを組み合わせながら、障害を排除し、変革のための確実な前進を目指す。変革の実現は、個人でなせるものではなく、実現は周囲に依存しなければならない。決して、独裁的では成り立たない。

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★ リーダーの課題観

少し視点はことなるが、優れたマネージャー(マネジメント and/or リーダーシップ)は、重要課題を時間軸の組み合わせで課題設定されている。

<イメージ>
重要課題=「財務」「商品・市場」「組織」
時間軸=「目の前:1か月以内」「短期:1年以内」「中期:~5年以内」「長期:5~20年」

   【目の前】 【短 期】 【中 期】 【長 期】 
財務  ***   ***   ***   ***
市場  ***   ***   ***   ***
組織  ***   ***   ***   ***

それぞれの課題が、明確に意識できているからこそ、日ごろのコミュニケーションがとれ、幅が広がり、また、確実な解決に向かっていける。

マネージャー(上司・ボス)の目標・課題・プレッシャーが理解できると、自らの取り組みとのリンクさせ、お互いに満足のいく依存関係が構築できるのでははないかと感じる。

※2012年10月に作成したデジタルメモを再編集しました。

ご覧いただきありがとうございます。仕事もプライベートもいろいろなモノを掘り下げていきます。