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「日本の物流を変革したい。取り返しがつかなくなる前に。」株式会社GLOBALWALKERS代表中野洋さん


金融業界、保険業界、通販業界など、様々な業界において第一線で活躍してきた中野洋(なかのひろし)さんが、なぜ物流業界の変革を志すようになったのか、そこに至るまでの背景、中野さんの思いなどをお聞きしてきました!

プロフィール
出身地:福岡県
活動地域:福岡県近隣
経歴:新卒で西日本シティ銀行へ就職し多くの賞を受賞するも、プルデンシャル生命へ転職。そこから通販会社の役員を経て、物流業界へ。現在は株式会社GLOBAL WALKERS 代表取締役として、物流業界の変革に従事する。

「物流は社会において、人間の血液にあたる」

Q1.どのような夢やビジョンをお持ちですか?

最終的には日本の物流を変えたいと思っています。物流と聞くと多くの方が「自分とは関係ない」と思われるかもしれませんが、実は物流は、消費者の皆さんと切っても切れない関係にあります。

物流は社会において、人間でいう「血液と同じ」と言われます。そして日本において、その血液(物流)の95%が「トラック」にあたります。ですから実質、日本の物流を支えているのは飛行機でも船でもなく、トラックの運転をしてる一人のドライバーということになります。

しかしそのトラックドライバーが、2027年頃には24万人不足すると言われています。

これによってどんな問題が起こるかというと、まず運べない荷物が出てくる可能性があります。そして運べたとしても、単純に運送費が高騰します。そうするとその負担は、荷物の輸送を依頼するメーカー(荷主)にいきます。そしてメーカー(荷主)はどこでそれを回収するかというと、消費者の皆さんです。そうすると、物流を使う全ての商品の購入単価があがります。ですから将来起こるとされているトラックのドライバー不足は、皆さんの生活にすごく直結する問題になります。

世の中的には自動運転や、ドローンによる解決策も出ていますが、自動運転のトラックが出てきたとしても実際に玄関まで荷物を運ぶのは結局は人です。ドローンを飛ばしたとしても、それによって生まれる多くの問題も解決しなければならなくなります。ですからこのドライバー不足は最終的には人で解決するしかありません。

ですからこれらの問題は気付かないまま放っておくと、とんでもない問題を引き起こす可能性がありますし、遅かれ早けれ多くの人が多くの負担を負わなければならなくなります。

これはあくまでも物流業界が抱えている問題の一例であり、この業界はその他にも多くの問題を抱えています。ですから私は、これらの問題を解決したいと思っています。

「"直接繋ぐこと"で多くの問題が解決する」

Q2.それを具現化するために、どんな目標や計画を立てていますか?

こうした様々な課題を解決するために私が行き着いた答えが「荷主や元請け企業と、実際に積荷を運搬する運送企業”直接”繋ぐこと」でした。

なぜならば、物流業界の問題の中でも現在は、メーカー(荷主)が運送会社へ運送を依頼する際に、複数の中間業者を介する仕組みとなっており、その結果として中間マージンが発生し、実際の運送会社やドライバーへ支払われる利益が減ってしまう仕組みになっています。

この仕組によって、ドライバーの労働環境が悪化します。例えば、長距離トラックが高速代も支払えなくなってしまい、一般道を走るしかなくなり、その一般道で速度をだすしかなく、事故に至ってしまうケースが実際に現在も起こっています。

また、運送会社は、利益は少なかったとしても仕事を切られたくないのでその値段で仕事を受けるしかなくなり、結局その運送会社の従業員は残業時間を伸ばしたりするしかなくなります。

ですからこれらの問題を解決するには「”直接”、荷主と運送企業を繋ぐこと」しかないと思い、物流支援サイト「直荷直トラ」というサービスを立ち上げました。

このサービスは「荷主や元請け企業と、実際に積荷を運搬する運送企業を直接繋ぐ」だけに留まることなく、現場で働く人々の想い・プライドも繋げていき、いままで変わることのなかった物流を変えていきたいと立ち上げたサービスです。

ですからまずはこの「直荷直トラ」を活性化させていきたいと思っています。

「現場に合った、本当に問題を解決できる仕組みを目指して」

Q.3.その目標や計画に対して、現在どの様な活動指針を持って、普段どの様な活動をしていますか?

実はこれまでも「直荷直トラ」と似たようなサービスはありました。しかしどれもあまり上手くいきませんでした。その原因の一つとして、システムとしては一流だったとしても、そのシステムを作る側の人たちが「物流(現場)のことを理解していなかった」ことがあります。

例えば、現在の物流業界はの連絡手段の主流は未だにメールではなく、電話やFAXです。またドライバーさんでガラケーの方も結構います。それらの現状も考慮しないまま一流のシステムだけ作っても何も解決はできません。

また、ある程度うまくいっているサービスもありますが、このサービスも本当の意味で「”直接”、荷主と運送企業を繋ぐ」サービスではなく、結局中間マージンが発生してしまい根本的な構造を解決できない状態にあります。

ですから、これらの現状も把握した上で、本当の意味で問題を解決できる仕組みを作っていきたいと思っています。とはいえこれは本当に大変なことで、すごく苦労しています(笑)。しかし私はこの問題と出会った以上、自分がやれることは全てやりきりたいと思っています。

「物流業界における数々の問題との出会い」

Q4.そもそも、その夢やビジョンを持ったきっかけは何ですか?そこには、どのような発見や出会いがありましたか?

そもそも私は物流業界と関わっていた人間ではありません。元々は金融業界や通販業界に身を置いていましたが、人生の転機をむかえ、周りの環境の変化などもあり、取締役として物流会社の経営に携わることになりました。

そこからまずは物流業界のことを理解しようと、実際に自分でドライバーをやってみたり、配車担当をしてみたり、取締役として経営者の立場も経験しました。その経験から物流業界にある多くの問題と出会うことがありました。

「"当たり前"と思っている環境を変えなければ」

Q5.その発見や出会いの背景には、何があったのですか?

そんな中で熊本の震災が起こりました。皆さんも想像できるかと思いますが、震災が起こるとその地域に物が全く届かなくなります。ヘリコプターも飛べないし、船でも届きません。そういう時に届けられるのはやっぱりトラックなんです。でも道路もどうなってるかわからないし、被災地に行くドライバーはなかなかありません。

ですが「何か役に立てたら」と思って、被災地に水を届けさせてもらったんです。そうしたらとても感謝してもらえました。その時に「やっぱり物流が社会を支えているな」「人の命を支えているのは物流だな」と確信し、物流の使命と重要性を再認識させて頂きました。

人の生活を支えているスーパーマーケットに当たり前に商品が並んでいるのは、ドライバーの方が届けてくれているからです。Amazonで何でも物が届くようになっているのも、ドライバーの方たちが届けてくれているからです。しかし多くの方は、その重要性になかなか気づけていないことが現状です。

ではなぜそうなってしまうのかというと「当たり前だから」だと思いました。なぜなら「空気に感謝してる」人はあまりいませんよね。それと同じ様に当たり前に空気を吸っているように、スーパーマーケットに商品が並んでいること、Amazonで物が届くことを当たり前に思っていて、物流で起こっている問題を見過ごしていては、みんなゆでガエルのように死んでいってしまうと感じました。

ですから私はこの「当たり前と思っている環境を変えなければならない」と決意し現在の活動に至っております。ぜひ皆さんも物流で起こっている問題を自分とつなげて感じてほしいと思っています。

※「直荷直トラ」は現在(2020.2.16時点)、バージョンUPの為に準備中です
※現在は、最終的に物流に繋がるドローンによる屋根点検の事業も展開されています(ドローンチェック株式会社)
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中野さんの活動、連絡についてはこちらから↓↓

【編集後記】
インタビューの記者を担当した冨沢です。自分が出会った問題を真摯に捉え、どれだけ難しかったとしてもそこに向かっていく中野さんの姿勢はとても感銘を受けました。また自分自身、記事にある通り物流のことは「当たり前」と思っていたフシがありましたので、これを機会にしっかりと物流業界で起こっている問題にも関心を持っていこうと思いました。中野さんの今後の活躍がとても楽しみです!

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この記事はリライズ・ニュースマガジン”美しい時代を創る人達”にも掲載されています。
https://note.mu/19960301/m/m891c62a08b36


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