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持ち込みの手順について〜原稿準備

送付原稿の準備について

ワープロ・パソコン原稿で、一枚あたり40字×30行など読みやすい文字組で作成します。枚数は400字詰原稿用紙換算で記しても、現在、原稿用紙レイアウトでの印刷は好まれませんので、注意してください。送りたい出版社が新人賞をやっていれば、その応募要項のフォーマットに合わせていただいてもよいと思います。

印刷して送るときは、マス目のない紙に縦書きで片面印刷をして綴じるのが標準的です。メールに添付するときは、PDFなど上書きできないファイル形式にしましょう。

手書き原稿がダメというわけではないですが、どうしても読みにくく、読んでもらえる確率が低くなってしまうので、残念ながらお勧めいたしません。

出だしが編集者さんを惹きつけるように書けているか、送る前によく確認しましょう。ぱらっと見た一枚目が面白ければ、編集者さんは必ず続きを読んでくれます。

新人賞の枚数規定を超える長さの作品はNG?

弊社にも問い合わせが多いのが、原稿の分量です。新人賞の枚数規定で応募できなかったために持ち込みを考える方も多いようです。

ただし、持ち込みの場合でもやはり一般的な長編の分量(400字詰原稿用紙300枚前後~500枚程度)が好まれます。ただし、自信のある作品であれば、長くても短くても、そのことだけを理由にみなさんが持ち込みを躊躇されることはないと思います。

長い場合は一度に全部送るのではなく、「大部な原稿なので、まず一部をお送りします。気に入っていただけたら、残りも送りますので、ご評価をお願いします」といった流れにするのもいいでしょう。

一冊の本にまとまらない原稿は送ってもムダ?

逆に短い場合――長編の分量には足りない、短編〜中編についても触れておきます。中編なら、純文学系の新人賞のように薄めの単行本にする可能性もありますが、持ち込みの短編や中編から小説誌への掲載や書籍化を狙うのはたいへん難しいです。私の経験からすると、新人であっても長編のほうが採用率が高いので、おそらく出版社としても短編や中編は扱いづらいのだと思います。

その点を承知で短編や中編を持ち込む場合は、「自信作の短編をひとつお送りします。同路線の短編を他にもたくさんストックしていますので、本作でご興味をお持ちいただけたらなら、他の作品もお見せしたいです」、または「自信作の短編ですが、このアイデアをもとに長編にすることもできます」といったメッセージを添えて送るようにするといいと思います。

自信作であればなおのこと、作者はまず「この作品の判断をしてほしい」という思いが強いものです。また、作品を評価される前から「短編集にしたい」などと厚かましいことを主張すると敬遠されるのでは、と思われるかもしれません。ただ、商業出版を目指していくとしたら、ある程度、書籍というアウトプットを想定した形で持ち込んだほうが、編集者さんにイメージをさせやすいと思います。

NGなのは「未完の大作」

弊社に原稿を送りたいという問い合わせで、稀に「まだ途中なのですが、いいでしょうか」と尋ねてくる方がいらっしゃいます。弊社の場合は、リーディング審査は有料ですので、未完成原稿でも添削や改稿のアドバイスをすることができますが、自社での作品の採用の可否を判断する編集者さんはそういうわけにはいきません。いくら作品に自信があっても、持ち込みのときに途中までの原稿を送るのは、まだ完成していない料理をお客さんに出すようなもので失礼に当たります。(次は「添付書類」についてご説明します)

*文芸作品の持ち込みに関するご質問があれば、コメント欄にて受け付けております。直接お返事をさせていただく場合、note記事にてご質問内容に触れる場合とあると思いますが、あらかじめご了承ください。


お読みいただき、ありがとうございました!