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出版社に作品を持ち込むときに「してはいけないこと」

自分の作品を出版社に持ち込むときには、緊張や高揚感で、ふだん通りに考えたりふるまったりが難しいかもしれません。でも、当然のことながら、人と接するときの気遣いや基本的なビジネスマナーを守らないと、敬遠されてしまうことがあります。


原稿を持ち込むときに「してはいけないこと」

具体的に言うと、次のような行為は控えましょう。

  • 突然、出版社を訪問する

  • 電話で断られたのに、出版社を訪問する(または電話で訪問したいと粘る)

  • 電話や面会で、自己紹介せずに一方的に質問だけをする

  • 短期間に何度も連絡する、質問だけのメールを何度も送る

  • 自己主張ばかりの長文のメールや手紙を送る

  • 作品に添える送付状で過去の新人賞応募時の選考に関して愚痴や恨みを書き連ねる

  • 作品に添える送付状に「どうせ採用されないのでしょうが」などのネガティブな文章を綴る

  • 略歴、受賞歴や出版歴をごまかさない、嘘をつかない

送付状については、以前「持ち込み原稿を見てもらえるかは「送付状」で決まる」という記事でもご紹介しているので、参考にしてください。

同時に複数の出版社に持ち込まない

また、私たちのようなエージェントは、ノンフィクションやビジネス書、実用書の企画の場合は、同時に複数社に売り込んでいます。編集者にもそのことを伝えています。そのうち興味を持ってくれた出版社から順に、企画内容や諸条件を詳しくご相談していきます。

ただし、検討にも判断にも時間がかかるとはいえ、文芸の場合は、同時に複数社に営業することはほとんどありません。基本的には「この人なら興味を持ってもらえるのではないか」という編集者を選んで持ちこみ、残念ながら採用されなかったら、次の編集者に当たる――その繰り返しです。そのため、どうしても時間はかかってしまうのですが、やはり作家や作品に対して情熱を注いでくれる編集者を探すには、こうした丁寧なやりとりが必要だと私は思っています。

また、文芸書の出版では、作家が複数の編集者に同じ企画を売り込むことに関して、ネガティブな印象が持たれるものです。5社程度の候補を選び、相手の反応を注意深く見極めながら順に送っていきましょう。

「数打ちゃ当たる」は嫌われやすい

相手に向けた文章のない型どおりの送付状をつけて、あらゆる出版社に原稿を送りつけていると、「このひとはこうやって編集者宛に何十通も送っているのだろう」と、すぐ見抜かれてしまいます。それは「執筆に向ける努力を、営業や自己アピールに費やしている作家だ」という印象を与えやすく、原稿を読んでもらう前に残念な評価が下されてしまうかもしれないのです。

作家が本を出してくれる編集者に出会うことが、〈運命の恋愛〉のようにたとえられることがありますが、恋愛と考えると手当たり次第にアプローチすることは……逆効果ですよね。

営業が苦手な方はエージェントの活用がお勧め

この文章は、作家志望者や新人・若手の作家へ向けて書いていますが、自分でも「作品のこととなるとつい主張が激しくなってしまう」「編集者への配慮がうまくできない」「そもそも一般的な営業のふるまいが苦手」といった方もいると思います。その場合は、私たちのようなエージェントの活用もご検討いただくとよさそうです。


お読みいただき、ありがとうございました!