自己紹介とR&Dチームについてつらつらと
はじめまして、株式会社Acompany の牧野です。
本記事は Acompany Advent Calendar の12日目の記事となります。
R&Dチームのマネージャーになって、5ヶ月ほど経ちます。入社経緯含む自己紹介と、チームや事業に対しての思いをつらつらと書いていきます。
経歴
大学は名古屋大学工学部の環境土木建築学科・建築コースにいました。自分は元々物理と数学にばかり興味があって、そればかりできるという人だったので、電気電子か情報に行こうかな〜と思っていたのですが、入試前に読んだジョブズの本に影響を受けて、デザイン一回やってみたいと思ってなんかできそうな建築学科に行きました。
建築学科のデザインの授業は結構鬼で、週10~20時間くらいかけて作ったアイデアを、毎週教授と1対1で15~30分ほどフルボッコにされるという授業だったのですが、デザインとは、使い手や環境やいろんなことに対して、ひたすら想像力と計算と実験を通して配慮していくことだ、みたいなことをフルボッコにされる中で叩き込まれ、今はあらゆることに生きているなと感じていて自分としてはこの授業は本当に良かったなと思っていたりします。
普通に、物理や数学もちゃんと学べたので、結局情報に行ったしちょっと選択ミスったかと思った時もありましたが、振り返ると割と良かったなと思います。
あとは高校の時、ちょくちょく全国大会へ行くような公立高校でラグビーをやっていたので、大学でもラグビー部で活動してました。かなりガチだったし、副キャプテンやったり戦術とか練習とか作ってたので、相当ハードで、もっと勉強とか研究したいなあと思いながら、学部を終えました。
そのまま大学院進みました。自分はやっぱり物理や数学が好きだったので、流体計算を中心とした研究を始めました。結局色々リサーチして、教授に提案して、流体計算と深層強化学習で最適な制御方法を明らかにしたり、構築していくという研究に決めて研究していました。
また、大学院へ進んだと同時に、本当にひょんなことから、とあるAIの企業で有償インターン(アルバイト)をさせてもらうことができ、そこでは機械学習・最適化などのアルゴリズム自体の研究や、物理シミュレーションと絡めた研究、それらを使ったデータサイエンスの受託案件のプログラムの設計・構築・納品等をやらせてもらってました。実はそこで現社長の高橋さんと出会いました。
しかし、まあ闇が深いので明言は避けますが、M2の時にそのインターンでとんでもなく重い案件をやることになって、研究と併せてとんでもないハードワークをしていて、まあ色々とあって、嫌悪が止まらなくなり、心も体も限界がきて、潰れてしまいました。
就職先もそのインターン先の企業にしていたのですが、内定辞退し、インターンも辞め、大学院も留年して休学して一年ほどニートしていました。というかほとんど何もできずぼーっと過ごしていました。
そこから、とある出会いがあって、復活することになるのですが、復活して社会復帰しようかなあというタイミングでAcompanyの現社長の高橋さんに声をかけられ、インターンとしてジョインしました。
潰れるまでは、自分は研究者になりたいと思っていて、アカデミアに進むかはわからないけれど博士課程後期まではやりたいと思っていて、就職してちょっとお金貯めたら戻ってこようと思っていたり、留年して次の年にはやっぱり行きたいなと思って入試を受けたりしていました。結局行きませんでしたが。
しかし、潰れて復活した経験や、いろんなことを通じて、自分が潰れた本当の原因は嫌悪やプライドやその他の欲といった心の問題であったということや、この世で得られる全ては結局苦しみに行き着くことに気づき、自分の心を成熟させなければならない、強く不動な心を手に入れなければならないと思うようになっていました。
そのため、自分の興味は研究よりは、苦しみをどうしたら減らしたりなくすことができるか、どうしたら心がもっと平安で幸福でいられるのか、心を成熟させるためにはどうしたらいいのか、といったことに移って行きました。
ここだけ見ると、ちょっと危ないやつに見えますが、そんなことないので安心してください。まあ一回潰れると人生について色々考えるようになって、こんなやつになってしまいました。
まあそんなこんなで、インターンしながら仕事を探していて、残業なしで働きやすい労働条件で、あとは自分の得意な数学っぽいことがやれるところがあったらいいなあと思っていたのですが、なかなか見つからず、Acompany の条件がドンピシャだったので Acompany にインターンからそのまま入社することになりました。その後ちょっとコロナになって、後遺症めっちゃ重くて死にかけたりしたこともありましたが、乗り越えて今に至ります。
R&Dの業務とか
自分はR&Dチームに所属しています。
Advent Calendar 2022の2日目の記事にもありましたが、元々CTOであった近藤さんが海外事業責任者になる関係もあったりして、少しづつ業務を手放している関係もあって、5ヶ月前ほどからマネージャーをさせていただいています。
以前の自分なら、開発とか研究をどっぷりやりたかったので、マネージャーの話とかも断っていたと思いますが、まあ別にいいかという感じになっていたので引き受けました。
R&Dチームのミッションは、「プライバシーテックの研究成果をソフトウェアとして使えるようにする」ことです。
Acompanyには、エンジニアが所属する開発部門として、今は SRE、 AutoPrivacy、QMPC、MPC、R&Dの5つくらいチームがあり、MPCチームとR&Dチームは研究開発部門に属します。
元々、Acompany はピポットしてからは、SMPC(Secure Multi Party Computation) の秘密計算エンジンの QuickMPC の開発を中心にやってきました。それらを開発・研究するのがQMPCチームとMPC チームの役割になります。
しかし、 Acompany の 「プライバシー保護とデータ活用の両立を実現し、安心安全なデータ社会の実現に貢献する」 というミッションには QuickMPC だけでは不十分であり、あらゆるプライバシーテックや法律に沿った技術が必要なことがわかってきました。R&Dチームはそこを担っていくチームになります。なので、あらゆるプライバシーテックをリサーチして研究開発して、ソフトウェア化しやすいように落とし込んでいくのがR&Dチームの役割になります。ソフトウェア化・プロダクト化は AutoPrivacy チームに担ってもらっているので、リサーチ、理論構築、検証、ある程度の実装までを行うイメージです。
扱う技術の範囲は非常に広いです。一般的にプライバシーテックと呼ばれる技術のほぼ全てを扱っています。さらに、プライバシーテックは黎明期なので、ちゃんと使えるOSS が基本的には存在しません。論文からリサーチして、検証して、実装する必要がある場合がほとんどです。いや、論文も不十分で自分達が発明しなければならないケースも割とあります。
また、プライバシーテックの問題は基本的に法律から定義されます。もちろんビジネスや純粋なセキュリティからも定義されるのですが、まず適法かどうかが一番大事です。適法でやりたいことをやるためには、どうしたらいいか。こういう数学的な手法あるいは抽象化したら適法になるか、みたいな検討も法律チームとよくしていたりします。また、法律は国や地域でバラバラなので、適用したい場所で問題が変化します。逆に、強いセキュリティをもった技術から入って法律を変えにいくというアプローチもあります。少し前に立ち上げたプライバシーテック協会もそういうロビイング活動の一貫だったりします。
上記の2点の理由から、プライバシーテックが、相当難しいけどめっちゃ面白い状況にあります。
そもそもプライバシーテック自体がデータサイエンスと暗号を足したような分野で、応用数学の面白いとこを集めたような分野でもありますし、この法律で誰もやってないので、自分が初めて問題を解き始め、必要なプロトコルを発明していくというようなことも割とよくあります。理論ベースから作っていくことが必要で逆にそこが楽しめる人は面白いと思います。
なかなか数学的なことを、理論からリサーチして、論文読んだり発明して、実装してみたいなことをやれる企業ってそこまでないよな〜と思います。自分的にはかなり面白いなと思って日々やっています。
大体、メンバーの日々の業務は論文をリサーチして読んでるか、発明してるか、実装して検証してるか、という感じですね。開発した技術でPoC(Proof of Concept:実証実験) を請け負ってやることもあります。
この辺のことは、以前のR&D取材note でも紹介してもらいましたが、数学めっちゃ強い人とか、研究能力高い人とかかなり欲しています。あとはデータサイエンス系の人が僕しかいないので、そっち寄りの人も来てほしいなあと。募集しているのでぜひ応募してください。
また、もう一つ思うのはプライバシーテックって今後めっちゃ重要だよなと思うことです。データは結構前に new oil とかって言われていましたが、プライバシーの規制で使えないとか非常によくあることで、それを使えるようにするのがプライバシーテックだとすると、さながらプライバシーテック企業は new oil 発掘企業でしょうか。
というのは置いといて、データを利用するときにプライバシーを守ることはやっぱりどう考えても必要で、でもデータを利用しないと社会が最適化されないです。希少疾患だとか、LGBTだとか、宗教だとか、そういう差別とかに発展しかねないデータもありますし、年収とか所属している会社とかクレジットカードの購買情報とか、住所とかメールアドレスとか、電話番号とか、普通に誰かわからない人に知られたくないですよね。知り合いに見つかったりしたら、何されるかわかったもんじゃないです。普通に年齢とかそういうのも嫌な人はいますし。
また、普通にセキュリティリスクって相当高くなっていて、世界中でよく流出事件があって賠償金めっちゃ払ったりしていますが、でもそんなリスクを抱えてでもデータって利用したいものなんですよね。
ユーザー側からしても、データを使ってもらうことでサービスがどんどん便利になっていくので、企業側からもユーザー側からも悪いことはないのですが、プライバシーがずっと足枷になり続ける。
でも、プライバシー周りの法律やプライバシーテックってめちゃむずい。そこを僕達が解決する。結構意義のある社会課題だなあと感じています。
R&Dチームについて
R&Dチームは優秀な人ばかりで、基本自分でどんどん進めていってくれます。また、抽象化した話で普通にやることの認識の齟齬が発生しないので、めっちゃやりやすいなあと思いながら日々やっています。
能力も高いので、まあできるっしょという感じで投げれてしまいます。(雑にならないように気をつけていますが)
普通に自分が考えていたことよりも良いアイデア、良いアウトプットが出ることも多く、優秀だな〜と思いながら過ごしてます。
最近はR&Dゼミを2週に一回開いていて、会社も大学内に拠点があってさらにコアタイムフレックスなので研究室かと錯覚する時もあります。
こうやってバリバリと進めてくれるメンバーが揃っているので(というかそういう人を採用しているのですが)、自分の一番の仕事はメンバーのブレーキを取り除いてあげることかなと考えています。もちろん方向性の修正とかマネジメントとかが大前提としてありますが。
特に心理的なブレーキは発生しないように心がけています。
This コミュニケーションという漫画内のセリフに、
「味方内に暴言があるとそれを受けた者は50%。 他チーム員はそれを見聞きしただけでも20%能力が落ちると言われている」
「暴言を吐くタイプは並の能力なら5人以上の集団ではいない方がマシ。 普通の倍の能力があっても10人以上の集団ではいない方が全体の能力が高くなるってことだ」
というセリフがありますが、まあその通りだなと思います。もちろん暴言を吐く人は現在会社内にいないですが、チームの人員の採用も基本は僕がやっているので、そういう人は入れないようにはしてます。結構見極めは難しいですが。
他にもメンバーの心理的安全性を担保することや、いろんなところで面倒だなとか嫌悪とか恐怖とかが出てブレーキにならないように心がけています。もちろん、全然まだまだだなとは思いますが、精進して行きたい所存です。
あとはちゃんと問題を整理して、Go!!! って感じで仕事してます。
しかし最近は自分が抱えているタスクが多かったりして、ちょっと相談乗りづらいかもと思ったりして反省しています。
また、マネージャー業務ですが、やってみると思ったより面白いなと感じます。いろんな問題に対して向き合うことになるので、こっちのアイデア転用できるなとか、これ使えるなみたいなアイデアを思いついたり、引き出しが増えるなあと思ったりします。一つの問題に対して、深く向き合うことはあまりないですが、メンバーがわかりやすく噛み砕いてくれるので、なるほど!!みたいな感動があったり、チームを跨いで仕事をすることも多いので、他のチームや会社の動向とかを含めながら、より高いレイヤーで物事を考えるのもこれはこれで面白いなあと思ったりします。
博士の方を採用できたりと、採用とかも少しづついい感じに進んできて、漠然となかなかいいチームになってきたなあなんて思います。
来年度の個人的な目標として、チームで論文を2本くらい出したいなあと思ってます。結構いい技術を発明したり開発しているので、ちゃんと論文出してグローバルやもちろん国内でも、多方面で技術的なアピールをして行きたいなと。論文まで行かずに学会発表2~3本くらいになるかもしれませんが、とりあえず国際学会とかで発表したいものです。
現在でも、先日、僕が簡単な秘密計算の実証実験で、医療情報学会で発表してきたのですが、そういった活動をしていたり、暗号系セキュリティ系の学会には基本的に最低一人は参加するようにしています。
最近は、そういったアカデミックな活動も増えたり視野に入ってきてより面白くなってきたなと感じています。
最後に、自分もこれからもできるだけいい環境になるよう努力しますし、会社としてけっこう環境が整っていると思うので、ぜひきてもらえると嬉しいです。
という最後は完全に採用広報みたいになってしまいましたが、つらつらと長々書かせていただきました。ここまで読んでくださりありがとうございます。
面白そうだなと思ったら、ぜひカジュアル面談からお願いします。
よければ一緒に仕事しましょう!!待ってます。