見出し画像

究極のミステリーにしてアンチミステリー(本紹介1)

今日、紹介するのはこちら。

西尾維新『サイコロジカル』。
この小説を一言で紹介すると、「究極のミステリー小説にしてアンチミステリー」。
僕がこの本を読んだのは中学2年生の時。初めて読んだ西尾維新の作品です。この小説は、上下巻ありますが、事件が起こるのは上巻のラスト5ページ。正確には、事件現場の描写があるのが上巻のラスト5ページ。だから僕は、上巻を読み終わった時点で、この小説がミステリー小説だと気づきませんでした。下巻を読んで、初めてミステリーだと気づきました。下巻を読もうと思ったのは、つまり、ミステリー以外の魅力が上巻にあったからです。
その1つは会話の面白さ。

『サイコロジカル (上)  兎吊木垓輔の戯言殺し』p146

こういう面白い会話が多くあるのが作品の魅力です。
しかし、この作品の魅力はミステリー以外の部分だけではありません。この作品はミステリーとしての完成度も高いのです。具体的に言うと、上巻を読んだだけで犯人が分かるようになっている。事件が起こるのはラスト5ページにも関わらずに、そうなっているのです。
さらに、その結末はミステリーともアンチミステリーとも取ることが出来るものになっています。この作品をミステリーと解釈するか、アンチミステリーと解釈するかは読者次第。
「究極のミステリー小説にしてアンチミステリー」。それがこの作品、『サイコロジカル』なのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?