パワーはネガティブから湧いていた
前回精神科に行った続きです。
あの後薬を処方してもらい、会社からはしばらく時短で勤務してくれと言われ週末を迎えました。
薬を飲んだ感想と母にこの状況を打ち明けたりなんかりしてました。
抗うつ薬って実際どうなの?って方は読み流してください。
精神科に行き、その日の午後は頭痛と戦いながらも仕事を終え、家路についた。今夜薬を飲んでも明日どういった身体状況なのかわからないので、半休勤務は本当にラッキーだった。
処方された薬はミルタザピン
・リラックスする
・副作用はあるが、寝てしまえば問題ない
・胃のむかつきがみられる人もいるので相談してください
先生と薬剤師さんの説明はこんな感じ。ちなみに飲む前に調べたがこの説明はだいぶ省略されたもので、
検索して出てきたのがこれ。私はてっきり眠剤だと思っていたが、ちゃんとした(?)抗うつ剤だった。
自分の理解用にまとめると
・リラックスするよ!
・眠気がくるから逆手にとって寝ちゃおうね!
・食欲増加の副作用があるよ!
といった感じ。先生たちの説明も間違っていなかったが、整理してみて意識しておきたいのは上記3つ。若年層には効果が強く表れる人もいるので、その場合は錠剤を砕いて少量にするパターンもあるらしい。
私自身こういった薬は初めてで不安も大きく、しかし同時に今体を襲っているこの頭痛と呼吸の苦しさをどうにかしたい気持ちも強かった。なので最初は言われた通り就寝前に1錠飲んだ。
私は体調にかかわらず、就寝前にSNSをだらだら眺めて、やがて眠気がきたら消灯して寝るようにしている。薬を飲んだその日も同じようにしていたが、いつも通り布団に体が暖められるだけだった。頭は相変わらず冴えてたし、鼓動も早かった。
昨日もこんな感じで寝れなかったけど、試しに目でもつぶってみるか・・・
んはっ
6時!?
完全に気絶だった。昨日寝ていないのもあるけど、本当に薬のおかげで眠ることができた。電気も消さず一瞬で朝になる眠り方の時(つまり寝落ち)はだいたい眠りの質もよくすっきりしているのだがどうだろう。
起き上がってみてすぐにわかった。
腕、めっちゃふわふわする。
いや何言ってるんでしょうか。自分もそう思う。けど27年生きてきてこの形容し難い状態。腕が付け根から浮いちゃってるみたいにふわふわしてる。ちゃんと血通ってる?変な寝相で寝たせいで起きたら腕がしびれてたことない?あれのしびれの痛みがない感覚。触覚だけ変に生きてるけど、能動的に動かす神経が鈍っているような。力を込めても握力がうまく発揮できなかった。
先生はリラックスとは確かに言ってたけど、当たり前だけど、体と心はつながってるんだなあ。薬によって眠れるようなリラックスな状態をつくりだしたってことは体の神経伝達物質や受容体に何も影響ない訳ないもんね。これの逆をやったのがドーピングなんだろうな。
そんなこんなで頭痛も胸のつかえも起床時にはすっかりなくなっていた。眠れたのが効果的なんだろうけど、体は一日中ふわふわしてた。特に顕著なのが腕だった。仕事中でも握力が戻らなくて、ペットボトル落としたりしてた。
そしてリラックスは頭にもいっちゃってるんだと徐々に実感してきた。
高校時代かってくらい腹空く。
運動した後とか今でもすくよ?でも、ここ数年は年齢と慢性的な運動不足で、耐えられないほどの空腹になったことはない。水分があれば最悪どうにかなるし、おなかが空いても間食程度の少量で満足できた。
久しぶりの空腹感。こんなにつらいのか。確かに高校時代のぽっちゃり全盛期は食べても食べても物足りなかった。頭の病気なんじゃないかと思いながら食べてた。あの飢えた感じがよみがえってきた。仕事をしながらでも食べたいもののことを考えてしまう。寿司、拉麺、焼き肉、マック、ポテチ、、
いつもなら思い浮かぶものはもっと軽い食べ物なので、仕事の後これらに手を伸ばせる状況になったとき、暴飲暴食するのが目に見えた。食べている自分を想像してしまうくらいおなかが空いていた。
もうひとつ頭がいっちゃってると感じた。
普通に脳が働かない。
私は仕事中にあれこれ考えてしまうタイプなので、今目の前のことに集中するよりも、順序だてて時間配分をまず組み立ててから取り組んでいる。(実際は時間がないので、取り組みながら脳内で組み立てている)常に頭を働かせていたはずなのに、それができない。
これ、やった。つぎ、これ。やった。つぎ、これ。
外からみたら普段と変わらないだろう。しかし私にとっては大違いだった。
目の前の書類を処理しながら、あの案件のメールそろそろ送らないといけないから午前中にやろうだとか、ネットの処理中に取引先に電話したりだとか、複数タスクをいつも同時進行していた。
そうでないと終わらないのに、今自分がやっていることにしか集中ができなかった。そこで私は気づいた。
私が心を疲弊しきるまで、いつも考えを巡らせていた理由
自分が理想とする状態(働き方や人との接し方)を実現するため
最悪の状態から最高の状態まで考え、どの展開になっても対応できるようにするため
周囲には考えすぎだよ、後ろ向きだよと言われることが多く、でもどうして自分は考え方がネガティブなのかがわかってきた。
ネガティブは私の強みだ。頭を悩ませ、いくつもの選択肢を上げ、そのどれにでも対応できるようシュミレーションしてしまう。悪く言えば小心者で臆病だが、その結果周りに合わせることもできたし、本当に自分の努力の範疇を超えたときは、すっぱり諦めることもできた。
逆にしばしば、周囲に対して考えが足りないのではないかと思うことがあった。職場の新人に仕事を教えていて、何もメモを取ってもらえないとモヤモヤした。取る取らないは好きにしていいけど、明日わたしが交通事故で死んだら、あなたにこの仕事を教えてくれる人はしばらくいないよ?と思っている。
知人にこの話をしたら笑っていた。普通はそう考えない。そうそれが普通。でも私は常に最悪を考える。明日担当者が盲腸になったらどうしよう。見積の内容つくってもらったけど、概要だけは知っておきたい。担当者が出勤できなくなったときに代わりに対応できるようにしておこう。そうやって働くことは、自分でいうのもなんだが周りは助かっているのだろう。中途半端に仕事をしてしまうことも多いが、いざというとき頼りになると思えた。
私のネガティブは長所でもあった。薬の効果でネガティブがいなくなって胸のつかえがとれても、私が昨日までできていた仕事はできなくなった。これは決してミルタザピンのせいではない。ひとつひとつに集中力を要する仕事にはかかせない要素だ。でも私が満足する働き方をするのに、ぼーっとする薬は必要ないのかもしれない。
このネガティブを抱えて生きていこうと思った。
もう一段階先の自分になるために、ネガティブをわざわざ捨てるのももったいない。ただ、人より荷物を抱えがちなだけだ。そう思えたとき、自然と私は母に打ち明けることができた。
通院のこと。薬のこと。薬は眠れないときの保険程度にとらえ、日頃から服用するのはやめること。通院のことは伏せるが、社内の信頼できる人に自分の状況を相談し、好転しなければ退職すること。
母は最初は自分のせいのように聞いていたが、(やっぱ親子やな)治す気持ちがあることを理解してくれた。殻にこもらずに、たとえ口論になってもいいから相談することも約束した。うに食べたい。
そんなこんなで最初の服用で副作用にびっくりした私は、副作用より自分の鬱な部分を受け入れることにした。あれから数日たって、眠気や浮遊感はなくなったが、空腹感は続いている。毎日キャベツの千切りを親の仇のようにむさぼっている。
これから抗うつ剤を服用される方は必ず医師・薬剤師さんとこまめに相談してほしい。私のように日常に困っていて薬を始めたのに、結果的に副作用で別の困りごとができる場合もある。私は薬で自分の良いところも損なっている気がしたので、いったん薬を中止することにしました。薬を使わなくても、薬がお守りになって「いつでも助かるから大丈夫」と思って社会に挑めそうです。
本当に無理だけはせずに考えてください。家族・職場・学校、いろいろな原因があると思うけど、まずは距離をとってみてもいいと思う。
寿司食べたい