高校時代の記憶#1:多額の料金未納発覚

高校時代のことは上の記事で少し触れたくらいでしたが、今後は思い出したことをもう少し具体的に書いていければと思っています。
今回は上の記事に関連して思い出したことを書きます。

高額な携帯電話料金請求の理由

親に携帯電話料金を生活費に替える方法を教えたのは実は自分でした。
その頃、ポイント還元サイトのようなものがあって、そのサイト経由で有料サイトに登録するといくらかポイントがもらえるという仕組みでした。

一部のサイトは実質無料で登録でき、そのポイントは現金等に換金することができました。
無料で稼ぐことのできるポイントは高々数千円分でしたが、これは家計の足しになる思った私はそれを母に伝えました。

しかし、これが誤算だったのですが、母は無料ではない有料サイトにも登録して、得たポイントを現金に替えてしまいました。
基本的にポイントの還元率はかなり低く、例えば月300円のサイトに登録すると100円分のポイントがもらえるという感じです。

当然この有料サイトの会費は数か月後に携帯料金として請求が来るわけなので、この場合単純に200円損をしていることになります。
まさか親がそんな損をしてまで現金を手に入れようとするとは想像すらできませんでした。

その結果が上の記事の料金請求なわけです。
だから親の手元に入ったのはそこでの請求額の数分の一だと思います。

今思えば、親は貧困により正常な判断力を失っていたんだと思います。
もし私が家計を管理していたらこんなことにはならなかったと思いますが、子供に家計を任せる親はいません。

そのため私は家計について何も知りませんでした(当然貧しいことは分かっていましたが)。
にもかかわらず、模試の費用や参考書代を要求し続けました。
こういうことが親を追い詰め、この事態を引き起こした一因となったのだと思います。

私には自分の目的のためなら周りを顧みないところがあると思います。
一方私がここまで来られたのはこの「短所」のおかげだとも思います。

でも普通、貧困家庭の子どもは親や周りに気を使って自分の夢を諦める方を選びがちです。
そうならないためには強烈なエゴと周りに「迷惑」をかける覚悟が必要です。

そんな覚悟、並大抵のことでは要求されるべきでありません。

学校の先生の対応

上述の事態は学校の先生にも相談しました。
でも実は、それまでの経験から「どうせ助けてくれないだろうな」と思っていた気がします。

それでも相談したのは、学校の先生に頼らなかったことを後から責められたくなかったのと、
先生が普段偉そうなのはこういうときに子どもを助ける義務を負っているからだと思っていたからです。

相談した結果は、残念ながら私の想像通りでした。

そもそも上述の事態を理解してもらうのにさえ苦労しました。
生徒指導の先生に精一杯説明しましたが「親が子ども名義で借金できないはずだから大丈夫だ」とか「そのサイトは詐欺サイトだ」と言われました。
しかし次の日「どうやらそのサイトは詐欺ではないらしい」と言われ、どうしようもないということを告げられました。

それどころか生活保護制度についても理解がないようでした。
ある日また別の生徒指導の先生に「金がないならアルバイトを許可してやる」と言われました。
生活保護世帯の子供がアルバイトをしてもその分保護費が減らされるだけだから意味がないということを一通り説明しましたが、
返事は「よくわからないけど、とりあえずアルバイトすれば」ということでした。

もしかすると私の説明が悪かったのかもしれませんが、そのとき感じたのは「たかが生徒が自分の知らないことを知っているわけがない」という意識です。
そもそも学校の先生はこういう社会制度を学んでいるのだと思っていました。
そうでなくても、生活保護世帯の子供というのは一定数いるはずなので、基本的なことは知っているだろうと思っていました。

結局私は生活保護について説明するのを諦めて、「じゃあ先生、アルバイトしながら東大に受かってみてください」と言い返しました。
すると先生はしばらく黙り込んだ後に「すまなかった」と言いました。

後で知ったことですが、この先生はそんなに悪い人じゃないらしいです。
一人目の生徒指導の先生も後に受験参考書をくれたりしました。

このときに限らず、当時敵だと思っていた人たちが実は私のことを助けてくれていたというのはよくあったように思います。
そもそも親だって私の邪魔をするつもりはなかったはずです。

でも、当時の私に相手方を慮る余裕はなく、ただただ憎しみだけがあったように思い返します。
それもあって、私の素行は結構無茶苦茶なものでした。
(すごく美化していえば、『海がきこえる』の主人公とカワムラ先生の言い合いのようなことは日常茶飯事でした。)

高三生だったある日、化学の授業で先生の話を聞かずに数学の勉強をしていました。
それは私にとって大事な勉強でしたが、一番前の席だったのもあり、先生に注意されてしまいました。

私は開いていた参考書をぴしゃりと閉じ、そのまま黙って教室を出ました。
先生は途中まで追いかけてきていたと思いますが、私は一度も振り返らず学校を出て、近くの公園で自習を再開しました。
それ以降一度も化学の授業には出ませんでした。
(ちなみに、入試の化学は満点でした。)

先に述べた先生たちとのやり取りがあってから、私は「生徒指導」の対象外で、こういうことをしても特に怒られることはありませんでした。
これも先生方による配慮だったのかもしれません。

その化学の先生は他校から来た新任の先生で、私のこういう事情を知らなかったと思います。
そういう先生はほかにも沢山いたはずで、私のことはどう見えていたんだろうと思います。

このように私は品行方正な生徒ではありませんでした。
正しいかはさておき、私には私の言い分があり、決して折れませんでした。

客観的に見て、私のような生徒に対応するのは大変な仕事だと思います。
個人的にはこういう生徒対応こそ学校の先生のメインの仕事だという意見なのですが、それでも限界があると思います。

私が高校を卒業した頃からスクールソーシャルワーカーの配置が進んでいるようです。
これにより問題が解決すると考えるのは楽観的過ぎるのでしょうが、社会が問題を認識し始めているということには希望を感じます。

今後は私たちの苦しみや怒りを社会に認知してもらい、この問題への対応のレベルを上げて、かつ対応する側の負担も軽減される必要があると思います。
スクールソーシャルワーカーの枠組みは、十分拡充されればこの問題を解くかもしれないと期待しています。


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