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書評 対論1968 笠井潔、すが秀実、 外山恒一

同書は久々に時間つぶしに訪れた本屋で衝動買いした1冊である。著者のうち、すが氏は小生がいまは閉校した専門学校で学んでいた時に講師を務めていた。文芸批評家として、当時は「文壇が恐れる」とのコピーで縦横無尽に批評活動を行い、当時SPA!で連載していた「ゴーマニズム宣言」では、小林よしのりの差別表現をめぐる問題で、論争に発展した。その後は、今回取り上げる書のテーマである「1968年」をテーマにした著作を数多く世に放っている。「1968年」は日本では東大紛争などの学生運動が、海外ではパリ五月革命、プラハの春と政治運動が盛り上がった年だった。同書は国内での運動を総括する内容で、数多くの著書のある笠井氏、外山氏との対談で、読みやすかった。

小生は学生運動以後に生まれており、リアルな状況は当然知らないが、学校の先生辺りはこの時代真っ只中に生きているので、昔は良かったと言わんばかりの言説に辟易する中高生時代を送った。その後専門学校ですが氏と接することになるが、美化することなく当時の状況などを色々と聞く機会に恵まれ、負の部分も含めて色々と知ることができ、勉強になった。また、それを切り口に、当時の学生に影響を与えた本なども読むようになった。

対談は当時の総括的なことから入り、近年の脱原発、コロナをめぐる在野的な運動のあり方までが語られている。あの時代の流れを知るには、役立つ1冊。

#書評 #1968 #左翼 #学生運動