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書評 こんなに使える経済学 大竹文雄編


  1. 経済学といえば、世間的にはお金をテーマにした学問との印象が強い。自分も通信教育の大学で経済学部を入学する前はそんな印象だった。しかし、スクーリングで、どのように財を分配していくかなど、それまで持っていた経済学に対するイメージとは違ったことを学ぶ機会に接して、見方がだいぶ変わった。編者も大学に入学する前は、経済学のイメージはお金をテーマにした学問だったらしいが、弾力性や均衡といったワードに接して物理学のような印象を持ち、アダム・スミスやリガードといった古典を読まされ、かなり印象が変わったと記す。そのようななかで、編者が経済学を学ぶときに重要なことが、「人は幸福になろうというインセンティブをもって行動していることを理解することだ」と説く。この視点から見ていくと、一見経済とは無関係なような出来事も、案外近い身近に感じるようになる。同書は経済誌に連載した文章を底本にしており、肥満の話や教師の質の問題、セット販売商品はなぜ得なのかなど身近な事象から、銀行、お金、労働規制の問題と幅広く取り上げ、経済学的視点から問題の本質をついている。08年初版でやや古いが、経済学を身近にとらえるには好著。

#書評 #経済学 #経済