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書評 メディアはなぜ左傾化するのか 産経記者受難記 三枝玄太郎


著者はSNSで情報発信をしていて、よく見ているので、本屋で同書を発見し、拝読した。学生時代は、心情左翼に近かったというが、新聞社への就職活動の結果、世間的には右翼と目される産経に入ったという。取材を行うなかで、他社の記者や取材先から、「右翼の産経」が云々といわれる場面が多々あったエピソードが出てくる。タイトルは「メディアはなぜ左傾化するのか」だが、朝日や毎日、共同通信といった記者の話や、いわゆる市民団体の話とかが出てくるが、「なぜ左傾化するのか」は、正直最後までわからなかった印象がぬぐえなかった。むしろ、著者も部数の落ち込みなどを指摘しているので、他社と比較した産経の人員配置のあり方など「既存メディアはなぜ凋落したのか」にしたほうがよかった気もするし、スクープの裏側をめぐる話は面白かったので、そうした視点に絞ったほうがよかった気もする。ただ、世間が見ているメディアの印象、日々スクープや真実の追求に力を注いでいる現場との間のギャップが浮き彫りにしているところは、メディアを一方的に批判したりする前にぜひ読むべき1冊ではあると感じる。

#書評 #マスコミ #ジャーナリズム