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印象操作に抗いたい

宝塚の存亡に関わる事態が起こり、宙組の中止が延長された。
ただ歌舞伎等で起こった件とは違い、一般的な騒ぎなっているとは言い難い。それは当事者の知名度なのか、他の理由なのかは不明である。

しかし、受験生がいなくなれば現実的には続けられない。
そもそも宝塚がこれまで高い倍率を保ってきたのには、芸能界や留学より安全安泰という前提が大きい。後ろ暗いところのないエリートだと思えばこそ、家族や友人の協力を得られた面はある。

命の危険はもちろんだが、ブランド価値が落ちればOGとしての活躍も難しくなる。日常生活においても、肩身が狭くなるかもしれない。芸能界で目立つOGが減れば、受験生も減り、ファンも減る。
悪循環の始まりの予感がしてしまう。

一問一答では場合によっては全組調べると言いつつ、宝塚全体の問題ではなく宙組問題にしたい意図も伝わってくる。
さらに以下理事長のコメントを見ていると、やはり個人の問題にまで落とし込み済ませようとしている。


宝塚歌劇団 理事長より
2023.10.05

このたびの歌劇団生徒の急逝につきまして、改めまして、心より哀悼の意を表するとともに、
~中略~
なお、一部週刊誌において、弊団生徒の逝去に関する記事が掲載されておりますが、ご親族の心情ならびに関係者の心身の状況を考えると、このような時期に、個人の尊厳やプライバシーを侵害するような内容が記載されておりますこと、甚だ遺憾に存じます。


引っ掛かるのは、週刊文春を読む限り、個人ではなく宝塚歌劇団の組織的な問題としているのである。
週刊誌らしい刺激の強い書き方、個人の名前や写真を載せる等気になる点はある。しかし宝塚側も今まで隠さなかったような点も含めた、想像以上にまともな内容であった。

もちろんSNS含め、問題のある投稿も数多くあるだろう。しかし一問一答含めさも個人への誹謗中傷をアピールすることは、実際に記載されている組織の問題から目を逸らそうとしているのではないか。
人によっては事前に「週刊誌は個人への誹謗中傷」と読むことで、影響力もある。つまり実際に読んでも個人への中傷だったように感じてしまい、本題を読み取れない場合もありそうだ。

宝塚の印象操作は、もはやお家芸である。今回も多用されると思った方がいい。

この3年程で、多くの芸能人が同じ選択を行った。理由がそれぞれ違うとしても、行動に移したという点では連鎖してしまう可能性を無視できない。

一目につく場所を選ぶのは、自室内とは違う。何かを「訴えたい」要素が強いと言われている。
その「訴えたい」思いは訴えたい相手よりも、同じ立場であるタカラジェンヌの方がよっぽど伝わっているのではないか。

多くの客にとって、宝塚は現実逃避の場所だと思う。夢を守ってくれる都合の良い情報を待っているし、出されたら飛び付くかもしれない。
苦い現実を受け入れるべきとは言わない。
しかしせめて、甘い夢を望まないのがモラルな時はある。

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