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【掌編小説】 はるか

マッチングアプリで
出会った人と
今日2回目のデート

長い間恋愛から
遠ざかっていたのを
みかねて
友達に勧められて
恐る恐る
始めてみた

最近の出会いの
主流は
アプリなんだって

黙ってても
日常で
出会う異性の
数なんてしれてるし

わたしは
合コンや
婚活パーティーも
向いてないから
アプリのほうが
いいのかな
なんて
自分にいい聞かせてみる

それほど強い
結婚願望が
ある訳でもないが

この先
ずっと1人
というのも
ちょっと寂しい

そんなこんなで
始めたものの
不慣れな上
もともとの
めんどくさがりもあり
なかなか
うまくはいかない

友達からは
複数のアプリに
登録して
少しでもいいなと
思ったら
どんどんマッチングして

たくさんの人に
会って
その中から
決めたらいい

上手くいかなくても
めげずに
次々進むこと

なんて
アドバイス
されたけど

そんなに
器用ではないし
会いたいと思うような人も
それほど多くはないし
マッチングするのも
難しい

メッセージの
やりとりが
続かなくなったら
やはり落ち込むし
そんな次々と
なんてうまくいかないよ

理想が高いわけでは
ないんだけどな
やっぱり最後は
フィーリングなんだよね

そんな中
マッチングして
初めて
デートすることに
なったのが
今日のお相手
Aさん

1度目の
デートは
緊張し過ぎて
何を話したのかも
覚えてない

とりあえず次も
会いましょうとなって
今日が2回目

第一印象は
悪くない

優しく
正直そうなところが
好感が持てる

こういう人と
付き合ったら
幸せなんだろうな
って思える
安心感がある

でも
わたしは
Aさんとしか
やりとりしてないけど
彼は複数の人とやりとり
してて
わたしは大勢のうちの
1人かもしれないのだ

マッチングアプリって
そういうもの
みたいだし

わたしも
1人にしか会ってないのに
これで決めても
いいのかなって
思う

けど
また相手を探して
マッチングして
からの一連の流れを
何度もするのかと
考えると
気が重くなる

あぁ
このまま
Aさんと
付き合いたいな

今日はカフェで
お茶しながら
いろんな話しをした

2人とも
温泉好きなことがわかり
盛り上がった

温泉デートしたいな

でも
いきなり
温泉なんて
早すぎるかな
すっぴん見られるのも
はずかしいし

なんて
1人妄想の世界

お茶したあと
水族館に行って
公園をぶらぶら
歩く

こんな
素朴な感じ
何年ぶりだろう
すごく落ち着くし
楽しい

長い時間
一緒に
いてくれるんだから
Aさんも
わたしに
気があるって思いたい

そろそろ
お別れの
時間になり

次は
あるのだろうかと
不安になる

断られる時って
いつどんなふうに
断られるのかしら

アプリだから
急にブロックされて
終わりになることも
あるらしいし

経験の少なさが
不安を膨らませる

名残惜しいなって
思ってたら

Aさんが
『次 日帰りで
温泉デートする?』
って言ってくれた

『はい
よろしくお願いします』
とわたし

嬉しさで
いっぱいになり
胸が熱くなる

彼の優しい
笑顔がまぶしい

この恋が
永く続きますように
と願いをこめる




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