見出し画像

【掌編小説】 とわ

気を許してくれてるのなら嬉しい

けど

雑に扱ってかまわない
と思っているのなら悲しくなる

最近
どっちかわからない態度が
多くなってきた

付き合って1年も経つと
相手をわかった気になって
気遣いも減るの?

素のままを
さらけだしてくれるのはいいが
あまりにも自分本位なんじゃない?

わたしの家で
寛いで
眠りこんでる彼を見下ろして
ため息がでる

せっかく
久しぶりに会えたのに

本当は
最近新しくできたお店に
一緒に出かけたかったな

夕方起きて
ご飯食べたら
すぐに
帰る時間になっちゃう

彼は実家暮らしで
ここからは結構遠い

最近残業続きだといってたし
疲れてるのもわかってる

会いにきてくれただけでも
よしとしなくちゃ

そういう気持ちもない訳ではないが

会えたら会えたで
その先を求めてしまうのは
欲張りなのだろうか?

外で食べる
ご飯だって

前は
ちょっと高級そうな
お店にもいったけど

最近は
ファミレスとか
定食屋がほとんど

それが嫌な訳ではないけれど
安く済ませても構わないと
思われてるなら悲しいのだ


わたしは
あなたにとって
どんな存在なの?

聞きたいけど
聞きたくないような

もどかしさが
積み重なっていく

仕事や
友達同士では
結構ハッキリ言える方だが

恋愛となると別
途端に臆病になる

言いたいことの半分も言えてない

頭の中でいろいろ
シュミレーションしては
結局ぐっと飲み込んでしまう

どうか
わたしのこと
好きでいてくれますように

彼が寝ている間に
晩御飯の準備でもしよう

少しでも長く
一緒にいれるように
出来ることは済ませておく

今日は
ハンバーグと
ポテトサラダにしよう

小学生男子が好きそうな
お子様メニューが好きなのだ

さほど上手くはない
わたしの手料理を
いつも
美味しそうに食べて
褒めてくれるのだ

そういうとこ
すごく好き

最近は
料理動画みたりして
研究中

もっとうんと
美味しいの作れるようになるから
期待しててね

ハンバーグの焼ける匂いに
気づいたのか
彼が目を覚ました

『とわ おはよ』

『もう 夕方だよ!』
わざとちょっと
怒った口調で返す

『ごめん🙏
最近仕事忙しくて
今日はハンバーグ?
いい匂いだね!』

ご飯を
美味しそうに
頬張る彼を見てたら
こっちまで嬉しくなるから
不思議

食べ終わると

『大事な話がある』
と彼

『何?』

『一緒に暮らさない?
もっと
とわと一緒にいたいなって思って

最近 仕事頑張ってるし
節約もして
お金貯めてた』

意表をついた言葉に
思考が追いついてこない

『えっ
嫌だった?』

嫌なわけが無い

返事の代わりに
抱きついて
キスをした

これからもよろしくね!














この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?