【掌編小説】 つむぎ

今日も
アプリで初めて会った男と身体だけの関係

こういうのは
悪いことだって
大抵の人は勝手に決めつけたがるけど
そんなの気にしない

危ない目に合うリスクも
ない訳ではないが

それは
他の付き合い方でも
あるだろう

最初は優しかった人が
DV男やモラハラ夫にだって
なりえるのだ

今のわたしには
長期的に
1人の男(ひと)と
付き合うなんて無理

わずらわしい
感情と向き合いたくはない

だから
一度きりで
後腐れなく終われそう人を
慎重に選ぶ

あまり
カッコ良すぎる人や
調子良すぎる人もパス

最近は
投資や結婚詐欺なんかも
増えてるみたいだから
上手い話には乗らない

真剣に
結婚を望んでるような人は
申し訳ないし
そぐわないのでこれもパス

そこそこ
本音をさらけ出してる
遊びと割り切ってる人を探す

でも
ヤリモク全開の
下品な人はもっての外

そうなると
かなり
対象は絞られてくる

候補を
絞りながら

世の中には
寂しい人が
たくさん溢れているのを
実感する

大方の人は
それぞれの理由で
誰かと
繋がっていたいと
願ってる

しっくりくる相手と
巡り合うのは
なかなか
至難の業だけど

わたしも同じだ

少し前までは
1人で充分と思っていたが

最近は
誰かと触れ合って
一つになっている時にだけ
満たされていると感じられる

わたしも
必要とされているって思える

勿論
身体だけが目当ての男に
それ以上を
期待はしない

それについてはお互い様だ

別にお金を
貰う訳ではないし
(金で買われるなんて
真っ平ごめんだ)

あくまでも
わたしの自由意思で
決める

相性が
良さげな人と
数回会ったこともあるが
長くは続かない

今日の相手は
多忙のサラリーマン

出張も多く
付き合ってた女性とは
あまり会えないことを理由に
振られたっていってた

付き合うとか
結婚って
全然ピンとこない

誰かと
生活を共有していくって
何か怖い

血の繋がった
家族とだって
難しいのに

こういうことが
できるのも
若さを保っていられる
僅かな時間だと
わかっている

そろそろ
人と向き合うのを
避けてきた

自分自身と
本気で
向き合わなくちゃ
ならないことも

次に
踏み出す
勇気を
探りながら

瞬間
誰かとの
繋がりを求めてしまう

矛盾をかかえながら
今日も生きてる