社会課題を価値に変えるゲストハウス - 2020年代のゲストハウス考
前回の記事で、わたしはこんなふうに書きました。
さらっと書きましたが、とても違和感のある表現です。課題というある意味ネガティブなもので、まちづくりをしようだなんて。そんなのおかしいじゃないか、そう思いませんでしたでしょうか。
課題ドリブンのまちづくり
今までのまちづくりは、資源ドリブンでした。うちのまちにはこういう宝があるというPR合戦が展開され、「地域活性化」しようというわけです。しかし、こうした取り組みには、いつも現実味がなく、地域に根を張って暮らす人を置き去りにして、一部の人たちがウェーイしていました。そうしているうちにも、困難な暮らしを強いられている人たちがおり、その暮らしを支えようとする現場は、破綻寸前の状況にあるわけです。
だからわたしは、課題ドリブンのまちづくりをしましょうという話をしています。地域の魅力と呼ばれる不確かなものではなく、住んでいる人の困りごとをベースとした「地域課題解決」という地に足の着いたまちづくりをしませんか。言うなれば、プロダクトアウトではなく、マーケットインのまちづくりなのかもしれません。
福祉の現場は、多くが対処療法的/帰納的で、どんどん状況が厳しくなる一方で、確実に一人ひとりの役に立っています。経済の世界は、多くが戦略的/演繹的で、どんどん新しいことが生まれていく一方で、本当に人の尊厳に向き合えている確証がありません。困難な時代に突入する今こそ、福祉が重要なのか、経済が重要なのかではなく、価値創造(経済)と課題解決(福祉)が相乗効果を発揮していかなければならないのです。
小規模多機能ゲストハウス - 2階を宿にする
じゃあ、どうすれば良いのか。じぶんの問題提起に対して、じぶんなりに対案を出すとすれば、不動産の2階で価値創造をすることによって、1階で課題解決ができないでしょうかということです。もっと具体的に言えば、2階をゲストハウスという経済活動の場所にすることで、1階を公益的不採算な福祉活動の場所にすることはできないでしょうか。わたしは、そんなふうに思っています。そうすれば、ゲストハウスは寄付付き商品となり、公益的不採算事業は補助金や行政の委託ではない第3の手法で継続性が確保されます。そして、その土地ならではの課題を価値に変えることこそ、確かな魅力を創造するのではないか。そのように考えるのです。
1枚目の画像は、以前から存在したまちづくりとしてのカフェとの比較によるゲストハウスの優位性。2枚目の画像は、2階がゲストハウスになることにより、1階で単独維持困難な分野が継続できると同時に、ゲストハウスの付加価値(いまだけ/ここだけ/あなただけ)になるという関係性。3枚目の画像は、「小規模多機能ゲストハウス」の一例です。詳しいことが書いてあるスライドも、以下に貼っておきます。
仮説を社会実験する
そうした仮説を、わたしたちは実証しようとしております。ニュータウン特有の高齢化による担い手の不足、余剰ストックの急増、住環境の悪化、それらに伴うコミュニティの減退を招いている江別市大麻地区。そこで奇跡的に生き残っている大麻銀座商店街で、「多世代/多文化共生のコミュニティをつくる」という社会課題解決に挑んでおります。
最後に、何度かお知らせを受けているかもしれませんが、そのことについて、クラウドファンディングもやっております。もしよかったら、ご覧いただけるとうれしいです!
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