『稲盛和夫一日一言』10/12(水)
こんにちは!
『稲盛和夫一日一言』 10/12(水)は、「高い目的を持つ」です。
ポイント:事業の目的は、人間として最も崇高な願望に基づくものでなければならない。そうすれば、恐れや罪悪を感じることなく、最大限に頑張ることができる。
2001年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅠ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究課編/非売品)の「高い目標を持つ」の項で、稲盛名誉会長は次のように述べられています。
高い目標を設定する人には大きな成功が得られ、低い目標しか持たない人にはそれなりの結果しか得られません。自ら大きな目標を設定すれば、そこに向かってエネルギーを集中させることができ、それが成功への鍵となるのです。明るく大きな夢や目標を描いてこそ、想像もつかないような偉大なことが成し遂げられるのです。
次元の低い目的、例えば金銭欲や名誉欲といった私利私欲に基づいた目的・目標を立てた場合、どうしてもそこには罪悪感が伴いますから、仕事に対するエネルギーのレベルが下がって、組織としての推進力もそがれていきます。逆に、人間として崇高な願望に基づく次元の高い目的・目標を設定できれば、恐れや罪悪感を感じることなく、エネルギーのレベルを最大限に上げることができます。
零細企業の社長さんであれば、朝から晩まで忙しく働かれているでしょうから、体も心も毎日くたくたのはずです。そんな状況では、経営コンサルタントの方々がよく言われるような自社の長期的な戦略プランを立案する余裕などなかなかないでしょう。たとえ何とか時間を作って大きな目的・目標を設定したとしても、ただその達成に向けてやみくもに突っ走るだけでは、そのうちどこかでつまづいて挫折してしまいます。社員にしてみても、いきなり現実味の薄い壮大過ぎる夢や目的・目標を掲げられたとしても、そんなものは社長から強引に押しつけられただけで自分には関係ない、と感じてしまいます。
しかし、社長が従業員に次のように呼びかけながら一緒にそれを実践していけば、結果は違ったものになっていくはずです。 「まずは、目の前の仕事に全精力を注ごう。そうして今日一日を一生懸命に生きることができれば、明日は自然に見えてくる。また、今週一週間を一生懸命に生きれば、その次の一週間が見えてくる。さらに今月を一生懸命生きれば、来月が見えてくる。そして今年一年を一生懸命に生きれば、来年が見えてくるはずだ。だから、今日一日を全力で生きていこう!」
一般的に、目的は「成し遂げようと目指す事柄」を指し、目標は「目的を達成するために設けた目当て・目印」を指す、と解説されています。どちらも「目指すべきもの」という点では同じですが、目的が物事の最終地点、つまり終点であるのに対し、目標はそこへたどり着く途中段階であるという違いがあるので、場合によっては使い分けが必要なことはあるかもしれません。また、目的は抽象的になりやすく、目標は具体的な数値や状態で示されるといった傾向もあるようです。
いずれにせよ、次元の高い崇高な目的・目標を設定し全員で最大限に頑張れるかどうかが、その後の企業や組織の成長・発展を左右することになりそうです。