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『稲盛和夫一日一言』 6月25日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 6月25日(火)は、「ひたすら善意に」です。

ポイント:物事をいいほうに善意に解釈していくことが大切。悪いほうに悪意に受け取っていては、人生はどんどん暗くなる。

 2001年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅠ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究課編/非売品)の中で、物事をいいほうに解釈していこうと努めることが大切だとして、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 どんな逆境にあろうとも、またどんなに辛いことがあろうとも、常に明るい気持ちで理想を掲げ、希望を持ち続けて一生懸命努力を重ねていくことが大事です。

 人生は素晴らしく、希望に満ちています。常に「私には素晴らしい人生が開けている」と思い続けることが大切です。決して不平不満を言ったり、暗くうっとうしい気持ちを持ったり、ましてや人を恨(うら)んだり、憎んだり、妬(ねた)んだりしてはいけません。そういう思いをもつこと自体が人生を暗くするからです。

 感謝の気持ちを持つためにも、「常に明るく」日々を過ごすことが大切です。不思議なことですが、人生がうまくいっている人は、必ず明るい心を持っています。心根が暗く、不平不満ばかりこぼしているようでは、決して素晴らしい人生を歩くことはできません。

 しかし、自分の未来は幸運に満ちている、自分には素晴らしい人生が待っていると思いなさいと言われても、この先何が起こるかもわからないのに、そんなおめでたいことが思えるかと考える人もいるかもしれません。
 しかし、そうではありません。誰にでも明るい人生が開けている、そのことをただ信じて、誰にも負けないような努力を重ねていけば、素晴らしい未来が待っているのです。

 要は信じるか信じないかの問題です。自分の人生は素晴らしく明るいと信じて、困難、苦労、苦難にめげず、明るい未来を描いていく。厳しい現実の中で、ついつい負けそうになる自分を励ましながら、明るく元気に振る舞っていく。そのような前向きな姿勢こそが、人生を開いていくのです。

 そのためには、たとえどんなことがあろうとも、物事をいいほうに解釈する努力が必要です。悪いほうに受け取っていたのでは、人生はどんどん暗くなっていきます。仮に相手が自分に対して悪意を持って何かをしかけようとも、「あの人はバカじゃないだろうか」と疑われるくらい、ニコニコしながら受け流すのです。
 そんなあなたを見て、「あの人はよほどのバカだよ。あそこまで怒らなくてどうするのだ」と見下す人もいるかもしれませんが、そういう下らない悪口などは気にせず、笑い飛ばしておきましょう。

 そういう私自身、必ずしもそれができているわけではありません。バカにされたり軽蔑されたりすれば腹が立ちます。しかし、できるだけそれを悪く取らないように努力しています。
 「あの人は何と哀れな人だろう。人間が貧しいから、そんなことを言うのかもしれない」と、相手を哀れむことによって、腹を立てずに済むよう努めています。

 世の中の現象はすべて、自分の心が招くものです。暗く、拗(す)ねた心でおくる人生は、ろくなものではありません。その意味からも、物事を明るく、いいほうに善意に解釈して毎日を過ごすことが大切なのです。(要約)

 2022年発刊の『経営12ヵ条 経営者として貫くべきこと』(稲盛和夫著 日経BP/日本経済新聞出版)「第12条 常に明るく前向きに、夢と希望を抱いて素直な心で」の中で、名誉会長は次のように説かれています。

 経営者は、どんな逆境にあろうとも、常に明るく前向きでなければならない。これは私の信念です。経営に携わっていると、次から次へとさまざまな課題が現れてきます。しかし、そのような苦しい局面ほど、夢と希望を失ってはならないのです。

 「何としてもやらなければならない」という強い思いの一方で、「何があっても、自分には必ず素晴らしい未来が開けているのだ」という確信を抱いて、明るくポジティブに生きていく。いまはどんな逆境にあろうとも、自分の人生をポジティブに見ること。これが人生の鉄則であり、経営者として生きる要諦なのです。

 逆境の渦中にある当人にとってはたいへん難しいことですが、無理やりにでも自分にそう思わせて努力を重ねていかなければならないのです。(要約)

 自分の人間性を否定されるような言動をされて、冷静でいられる人はそう多くはないでしょう。
 また、例えばコロナ禍で高熱にうなされながら「自分はこのまま死んでしまうんじゃないか」と気弱になったり、その後もなかなか倦怠感が抜けずに、「このまま体調が戻らずに暗い気持ちで一生を過ごさなければならないのか」といった恐怖感にさいなまされた人も少なくなかったはずです。

 「世の中の現象はすべて、自分の心が招くもの」
 そうした達観の域には遠く及ばなくても、物事をいいほうに善意に受けとめようと努めることで、自らの人生を少しでもいい方向に向けていければと思っています。

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