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『稲盛和夫一日一言』 2月23日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 2月23日(金)は、「ベストではなくパーフェクト」です。

ポイント:パーフェクトとは、他との比較ではなく、完全な価値を有したもの。他がどうであれ、パーフェクトを超えるものは存在し得ない。

 1996年発刊の『成功への情熱 ーPASSION- 』(稲盛和夫著 PHP研究所)「完全主義をめざす」の項で、経営者は完全性を追求することを日々の習慣にしなければならないとして、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 私は、仕事に関しては完全主義です。
 仕事が90%うまくいけば、「これでいいだろう」と思って次に移る人がいます。事務に携わる人の中には、ミスがあっても消しゴムで消せば済むと思っている人もいます。また、一般には90%でもそれなりの効果はありますから、完全にやり遂げることをそれほど追求しません。

 しかし、化学実験では、99%うまくいったとしても、1%のミスを犯せば、完全に失敗になってしまうことがあります。ほとんどの技術者は、完璧さを求めての最後の1%をめぐる修羅場をくぐったことがあるはずです。
 それは、最後のささいなミスが、命取りになってしまうことがあることを知っているからです。

 実際にささいと思われるミスが、プロジェクトの命運ばかりか、ときには人命にすらかかわってしまうこともあります。「もう少しのところで地震に耐えられた橋」などというものは、実際に惨事が起きてしまえば何の価値もありません。そのため、技術者のほとんどは、完全さを追求する姿勢を持っているのです。

 このような完全主義を自分に課し、毎日を生きることはたいへんつらいことです。しかし、それが習い性になれば、苦もなくできるようになるはずです。
 それは、地球の引力に逆らって人工衛星を打ち上げるにはたいへんなエネルギーを必要としますが、ひとたび周回軌道に乗ってしまえば、ほとんどエネルギーを必要としないのと同じです。

経営者は、完全性を追求することを日々の習慣としなければなりません。(要約)

 今日の一言には、「ベストという言葉は、他と比較して、その中では最もいいといった意味で、いわば相対的な価値観である。したがって、レベルの低いところでもベストは存在する。しかし、私がめざすのはベストではなく、パーフェクトである」とあります。

 名誉会長は、「完全主義を貫く」というフィロソフィ項目の中で、次のように述べられています。

 私は若いころから、この「完全主義を貫く」ということをモットーにしてきました。この完全主義を貫く、またはパーフェクトでなければならないというのは、私自身の性格もあると同時に、「ものづくり」に従事した経験から言い出したことだったのではないかと思っています。(要約)

 2012年発刊の『京セラものづくりの心得を語る』(伊藤謙介著 京セラ経営研究部編/非売品)「真の完璧主義を目指す」の項で、完璧主義を目指す姿勢を持つことの大切さについて、伊藤謙介元京セラ会長は次のように述べられています。

 品質はものづくりにおいて最も重要なものです。完璧主義のもと、工程や作業が組まれていなければなりません。そのためには、人間にはミスがあるかもしれないということも踏まえ、工程を設計していく必要があります。
 しかし、そうした仕組みに頼り切ってはいけません。ものづくりに携わる人間の、徹底して完璧を目指す姿勢こそが、最も大切なのです。

 「何が完璧か」ということには個人差があります。ある人にとっては完璧であっても、別な人には不完全なものかもしれません。やはり、人間性こそがカギとなります。
 製造マンが自らの人間性を磨き、感性を高めていくことが、ものづくりにおいて、真の完璧主義を実現することになるのです。
(要約)

 私は、長いこと「ものづくり」に携わってきました。その間、どこから見ても、また誰から見ても「パーフェクトなもの」をつくってきたか、と問われると、甚だ疑問です。
 なぜなら、物性にしろ出来映えにしろ、ある程度の数をつくればつくるほど、そこにはある確率でばらつき(ブレ)が生じるからです。

 ある意味、算数のような明確な答えが出ないのは味当たり前であって、それは誰もがそうだと認識はしているのですが、それでもなお「完璧さ」を追求しようとあがいてきた日々であったように思います。

 日々の生活においても、自らの人間性を磨き、感性を高めていくことで、絶対的な価値を高めていこうとする姿勢を持ち続けていたいものです。


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