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『稲盛和夫一日一言』 9月15日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 9月15日(金)は、「ベクトルをそろえる」です。

ポイント:考えを分かってくれない人にどこまで分かってもらえるか。それには、分かって考え方を変えてくれるまで話を続けることが大事。

 2001年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅠ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究課編/非売品)の中で、「ベクトルを合わせる」として、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 人間にはそれぞれ様々な考え方があります。もし社員一人一人がバラバラな考え方にしたがって行動しだしたらどうなるでしょうか。

 それぞれの人の力の方向(ベクトル)がそろわなければ力は分散してしまい、会社全体としての力とはなりません。このことは、野球やサッカーなどの団体競技を見ればよく分かります。全員が勝利に向かって心を一つにしているチームと、各人が「個人タイトル」という目標にしか向いていないチームとでは、チームとして発揮できる力の差は歴然としています。

 全員の力が同じ方向に結集したとき、何倍もの力となって驚くような成果を生み出すことができるのです。(要約)

 昨晩、阪神が9月度11連勝であっさりと18年ぶりのリーグ優勝を果たしました。一方、MLBではエンゼルスが正念場での連敗で失速し、早々に戦線離脱状態に陥っています。
 また最近では、バスケットボールワールドカップで、日本男子の歴史的勝利の連続によるパリオリンピック出場権獲得等々、チーム内のベクトルがそろったときの驚異的なパフォーマンスを示してくれました。

 「ベクトルを合わせる」とは、「考え方を合わせる」、また「進むべき方向を合わせる」という意味です。創業以来、京セラが標榜してきた「全員参加の経営」を実現するためには、会社の運営方針について、社員みんなの考え方が一致していることがたいへん重要でした。

 名誉会長は、「京セラという会社はこういう考え方で経営していきます。そして、こういう方向を目指します」ということを常に社員全員に訴え続けておられました。しかし、みなが一様に納得までしているかどうかは分かりません。ですから、事あるごとに熱く、そして最後の一人が相槌を打って納得してくれるまで、必死に話を続けられました。

 それは、中小企業であるがゆえに、ベクトルのそろわない人が一人でもいてはならない。どうしたら本当に分かってもらえるのか。その説得のためには自分はできる限りの時間をとろう、と考えられてのことでした。

 企業という集団において、その中に住む従業員の幸福を実現するために高い目標を掲げ、成長発展を目指していくためには、「この会社はこういう経営哲学、経営理念に基づいて経営をしていきます」という基準となる考え方がどうしても必要になります。そして、その基準となる考え方に全社員がベクトルを合わせていかなければなりません。

 もちろん、それは思想や言論の自由を妨げるものではありませんが、全社員に心を一つにして同じ方向を目指して仕事をしてもらうためには、会社の考え方の基準となる経営理念、フィロソフィに対する理解を深めてもらい、それを共有してもらうよう努めることが不可欠なのです。

 個々にパフォーマンスを高める努力を怠らないことは当然のこととして、組織、チームとしてのパフォーマンスを最大限に持っていくためには、その組織、チームが目指すべきものを明確にし、その目標に向かって全員が一丸となってひたむきに頑張る、そうした姿勢が必要なのではないでしょうか。


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