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『稲盛和夫一日一言』 8月10日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 8月10日(木)は、「哲学が企業を動かす」です。

ポイント:「哲学」がなければ、企業という集団を率いることはできない。また、それは普遍的な価値観に基づいた、集団全員から共感を得られるようなものでなくてはならない。

 2016年発刊の『稲盛和夫経営講話選集 第6巻 企業経営の要諦』(稲盛和夫著 ダイヤモンド社)の中で、「経営の要諦はフィロソフィに尽きる」として、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 素晴らしい経営を行っていくには、どうすればいいのでしょうか。
 世の中には、経営に関する書籍が多数出版されていますし、また数多くの経営コンサルタントの方々も活躍しておられます。さらに、大学で経営学を教えておられる先生方は、次々と新しい経営理論を展開されています。

 しかし、そのいずれかに従い、参考にしたとしても、なかなか思った通りの経営にはならないものです。そのため、いったいどのような経営をすればよいのかと、多くの経営者が、迷い、戸惑い、途方に暮れておられるのではないでしょうか。

 私は、経営の要諦は「フィロソフィ」に尽きる、つまり、企業内で「経営哲学」を確立し、それを経営者はもとより、全従業員で共有、実践することで、企業は必ずや成長発展を遂げることができる、と固く信じています。
 それは、私自身が、京セラやKDDIの経営で経験したのみならず、現在取り組んでいる日本航空の再建においても、まさに実感していることです。

 私は、就職して新しいセラミックス材料の開発という仕事に取り組まなければならなくなったころから、「仕事をするには、こういう考え方、こういう方法でなければならないのではないか」ということを、思いつくたびに実験ノートの端に書き留めていました。
 京セラを経営することになったとき、その自分なりの仕事の要諦のようなものを書き留めたノートを引っ張り出し、その後経営に携わり気づいたことを加えて、改めて経営の要諦としてまとめ直したものが、「京セラフィロソフィ」なのです。それは、私が呻吟(しんぎん)する中で編み出していった、まさに実践的な経営哲学なのです。

 日本航空の再建においても、社員の意識を変えたのは「JALフィロソフィ」です。経営においては、経営者自らが「フィロソフィ」をよく理解し、身につけ、日々実行することが大事であると同時に、それを全従業員に理解してもらい、職場で実践してもらうことが、何より大切です。(要約)

 今日の一言には、「哲学がなければ企業は動かない。また、その哲学は、普遍的な価値観に基づいた、集団全員から共感を得られるようなものでなければならない」とあります。この場合の「哲学」は、「理念」あるいは「考え方」と言い換えてもいいものです。

 山口悟郎現京セラ会長は、最近の社内報で、次のように話されています。

 「私は、京セラグループにとって最大のブランドが『京セラフィロソフィ』であると考えています。(中略)
 京セラは創業間もないころから積極的に多角化を進めてきましたが、後発や新規事業の分野における京セラの認知度は決して高いものではなりませんでした。
 そのような環境下にあって、私自身も先輩や上司から「製品ではなく、まずフィロソフィを売る」というかつてのエピソードをよく聞かされました。

 京セラのことをよく知らないお客様に対しては、京セラという企業やそこで働く一人一人の従業員が、どのような哲学に基づいて仕事に向き合っているのか、つまり京セラフィロソフィを伝えることこそが、京セラを理解していただく最大の近道だったのです」

 名誉会長は、「フィロソフィの一端を社員に話し、理解してもらうだけでも、社員の意識は劇的な変化を遂げ、その行動は素晴らしいものになっていく。さらには、そのことによって社員の意識が良い方向へと変わっていけば、それに伴って会社の業績も飛躍的に向上していく」と説かれています。

 人生方程式:人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力にも示されているように、従業員一人一人の考え方がプラスの方向に向くことで、ベクトルが揃った力強い集団へと変貌させていくことができるはずです。


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