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『稲盛和夫一日一言』 10月4日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 10月4日(水)は、「よい上司とは」です。

ポイント:部下を放任しているような上司に限って、真剣に考えたり判断したりすることから逃げていることが多い。

 2001年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅠ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究課編/非売品)の中で、些細なことでも真剣に考えることの大切さについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 京セラという会社をつくっていただき、取締役技術部長として経営に携わることになった私は、「素晴らしい経営者、またはリーダーは、正しい判断が瞬時にできなければならない。さもなくば、将来、会社の規模が大きくなっても、何万人という従業員の生活を支えることなどできないはずだ」と考えていました。また、「どうすればそのような判断ができるのだろう」とも思っていました。

 「そうしたことは、生まれつき鋭い感覚や優れた能力を持っていなければできないことなのだろうか。そうであるならば、私のようなそれほど優れているとも思えない人間は、どんなに努力しても正しい判断を下すことはできないのかもしれない」

 そう悩みながらも私は、「どんなに簡単に思えることでも、真剣に考え、正しい判断ができるよう努力しよう」と決め、それ以来、どんなに些細なことでも真剣に考えるように心がけてきました。

 ところが、一般の経営者は、大して重要でない問題に対しては、「こんなものでいいだろう」と簡単に事を済ませてしまったり、極端な場合は「君に任せる」と言って、部下に判断を委ねたりしています。
 日ごろからそんな調子では、大問題が発生したときに、的確な判断が下せるわけがありません。そのときになって、「さあ真剣に考えよう」と思っても、そのような習慣が身についていないものですから、どうしても浅く薄っぺらな考えしか出てこないのです。

 一方、どんなに些細なことでも真剣に考えるような人は、感覚が研ぎ澄まされていますから、いつでも迅速に、的確な判断が下せるようになっています。ですから、問題を聞いた瞬間に、「あ、そうれはこうすればいい」と分かるのです。
 それは、過去に同じような経験をしたから、特に考えなくても分かる、ということではなく、ものすごい速さで思考がまわり、最良の策を考えつくことができるからなのです。
(要約)

 また、1989年発刊の『心を高める、経営を伸ばす』(稲盛和夫著 PHP研究所)の中で、「些細なことにも気を込める」として、次のように述べられています。

 正しい判断ができる人は、仕事がよくできる人だと言われます。
 正しい判断をするには、どういう状況下にあるのかということを、鋭く観察する必要があります。ものごとの核心に触れるまでの、鋭い観察がなければならないのです。

 この判断を生むのは、神経の集中です。しかし、急に神経を集中しようと思っても、なかなかできるものではありません。実は、集中するということは、習慣性があるのです。些細なことでも、注意を払って行う習慣がある人は、どんな局面でも集中できるのですが、そういう習慣のない人は、なかなか神経にフォーカスを絞れないのです。

 忙しいときにこそ、些細なことでも気を込めて行うという習慣をつけるべきです。興味がないことでも、努めて意識を向けるということをすべきです。これを「有意注意」といいます。この日常の有意注意が、「いざ」というときの判断力を左右します。(要約)

 今日の一言にもあるように、世間では「良きに計らえ」とばかりに、部下に仕事を一任するのが「よい上司」だという考え方もあるようです。
 しかし京セラでは、「上司は自分の部下の仕事の隅々まで分かっていて、もし部下が休んだときは、上司がその仕事を即カバーできるようでなければでダメだ」と言われてきました。

 「よい判断を下す」ためにも、常に「有意注意」で判断力を磨いていきたいものです。


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