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『稲盛和夫一日一言』 11月30日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 11月30日(火)は、「極楽と地獄」です。

ポイント:我々の人生は、自分のことのみを考えるのか、それともお互いに思いやりを持って接するかによって、極楽にも地獄にもなり得る。

 1996年発刊の『成功への情熱 ーPASSIONー 』(稲盛和夫著 PHP研究所)の「考え方」の章で、「極楽と地獄は紙一重」として、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 若い修行僧が、ある日老師に「地獄というのは、どんなところなのですか」と尋ねました。老師は次のように答えました。
 「地獄には、大きな釜の中に、うまいうどんが湯気を立てて煮えている。ところがそれを食べるには、長さが1メートルほどもある長い箸を使うしかない」。
 「何が起きるか想像がつくであろう」と、老師は続けました。「みなお腹が空いているので、その長い箸でうどんをすくって争って食べようとする。しかし、箸が長すぎるため、うどんをつかむことはできても、口に入れることができない。皆、自分が真っ先に食べようと、狂ったようになり、ケンカを始め、しまいには、うどんはあちこちに飛び散ってしまい、誰も食べることはできない」。

 若い修行僧は、「それでは極楽とはどんなところですか」と尋ねました。
 老師の答えはこうでした。
 「極楽も、実は同じようになっている。ただそこでは、人々はうどんを長い箸でつまむと、釜の向こう側にいる人に、『どうぞこのご馳走をお先に召し上がってください』と、すすめる。すると、釜の向こう側にいる人は、それを有難く受け、『どうもごちそうさまでした。今度はあなたにお返しをさせてください』と、自分の箸でうどんをつまんですすめる。そこでは全員が美味しいうどんを食べることができる、つまり永遠の至福を楽しむことができるのだよ」。

 我々の人生においても、自分のことのみを考えるのか、それともお互いに思いやりを持って接するかによって、極楽にも地獄にもなり得るのです。(要約)

 稲盛経営12ヵ条 第11条は、「思いやりの心で誠実に」です。
 思いやりは「利他の心」とも言い換えられます。自分の利益だけを考えるのではなく、「自己犠牲を払ってでも相手に尽くそう」という美しい心のことであり、それはビジネスの世界においても一番大切なことであると、名誉会長は説かれています。
 また、成功と失敗の違いは、「利害損得だけを考えるのか、それとも本当に相手のことを思いやるのか、その心の差異が表れたものだ」とも言われています。

 今日の一言では、「相手を大切にし、思いやるという利他の行為は、一見すると自分たちが損をするようでも、長いスパンで見れば、必ず素晴らしい成果をもたらしてくれるということを理解しているかどうか」ということが問われているのだと思っています。

 自分の中にある「利己」と「利他」の比重の大きさによって人間性が決まるとすれば、少しでも「利他」の比重が高まるよう、「利他の心」を目覚めさせるための学びの機会を増やしていくしかないのではないでしょうか。


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