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『稲盛和夫一日一言』4/20(木)

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 4/20(木)は、「謙虚にして驕(おご)らず」です。

ポイント:少しばかりの成功で驕り高ぶってしまうようでは、その成功は決して長続きしない。どんなに成功しても、相手を思いやるやさしい心、善き思いを持ち続けることが必要。

 2001年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅠ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究課編/非売品)の中で、常に謙虚であらねばならないとして、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 世の中が豊かになるについて、自己中心的な価値観を持ち、自己主張の強い人が増えてきたと言われています。しかし、それではエゴとエゴの争いが生じ、チームワークを必要とする仕事などできるはずがありません。

 素直であることと同様、謙虚であることは学びの源となります。
 中国の古典に「謙のみ福を受く」という言葉がありますが、謙虚な心の持ち主しか、幸運、幸福を得ることはできない、という意味です。

 謙虚、謙(へりくだ)ると言えば、何かみっともないような感じを抱かれる人もあるかもしれませんが、それは誤りです。人は自分に誇るものが何もないからこそ威張り、ふんぞり返って自己顕示欲を満たそうとするのです。
 たとえ、控えめに謙虚にふるまうことによって他人からバカにされようとも、バカにするほうの人間が間違っている、と考えるべきです。

 自分の能力やわずかな成功を鼻にかけ、傲岸不遜(ごうがんふそん)になってしまうようでは、周囲の人たちからの協力が得られないばかりか、今以上の成長も望めません。

 企業経営においては、集団のベクトルを合わせて、心と心で結ばれた良い雰囲気を保ちながら、高い能率で職場を運営していくことが求められます。
 素晴らしい企業風土を醸成していくためにも、リーダー自らが謙虚な姿勢を持つことが必要です。自らが率先垂範してそのような姿勢に努めるからこそ、部下もその後に続くことができるのです。

 役職・地位が高くなればなるほど謙虚になって部下のなかに入り、自ら懸命に仕事の夢などを語って聞かせ、職場に素晴らしい風土が根づくよう努力していく。それには、どんなに成功しても、相手を思いやるやさしい心、善き思いというものを持ち続けることが必要なのです。(要約)

 六つの精進の二番目は、「謙虚にして驕らず、さらに努力を」(現在は過去の結果、将来は今後の努力で)です。

 「初心忘るべからず」という言葉は、何事においても、初めのころの謙虚で真剣な気持ちを持ち続けていかねばならない、という戒めとして使われていますが、残念ながら人の心は次第に緩んでいきますから、初めのころと同じように頑張り続けようと思っても、心も身体もなかなか思うようには動いてくれません。

 また、「月盈(み)つれば則(すなわ)ち食(か)く」(易経)という言葉もあります。月も満月を過ぎれば、必ず欠け始める。つまり、満足すれば必ずボロがでてくるようになる、という、こちらも戒めの言葉です。

 決して驕ることのないよう、倦(う)まず弛(たゆ)まず心を引き締め、人間として正しいことを正しいままに貫いていこうとする姿勢を持ち続けること。それが、名誉会長が一貫して説いてこられた人生訓です。


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