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『稲盛和夫一日一言』 2月25日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 2月25日(日)は、「商いの極意」です。

ポイント:商いの基本は、お客様から信用されること。しかし信用を超えて、お客様から尊敬されることこそが商売の極意ではないか。

 2011年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅡ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究部編/非売品)の中で、お客様から尊敬されることの大切さについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 商いとは、信用を積み重ねていくことです。事実、私たちを信じてくださるお客様が増えてくると、多くの注文を期待できるようになります。

 もちろん信用は不可欠ですが、まだそれ以上のものがあると私は考えています。
 いい品物を安く、正確な納期で、そして素晴らしい奉仕の精神でお客様に提供することで、信用は得られます。しかし、もし売る側に高い道徳観や人徳があれば、信用以上のものが得られます。それがお客様から尊敬されるという状態です。

 商売の極意とは、身につけた哲学をもってお客様から信用され、さらにその上に尊敬を得ることにあります。
 武道に例えると、ビジネスで信用されるというのは、少し強いという程度ですが、尊敬されるということは、神髄を会得して、素晴らしい境地にまで達するというように、格が違う状態のことです。

 そして尊敬されるためには、フィロソフィが必要だと私は考えています。このフィロソフィは、勉強してそれをただ単に頭で覚えるという程度ではまだまだで、日常の生活、日常の仕事に使うことで、次第に身についてくるものです。
 そうなると自然にフィロソフィがにじみ出てきて、その人が持っている品格になっていきます。その品格によって、あの人は立派な人だと思われ、尊敬させるようになるのです。

 私は、お客様から信用されるのみならず、尊敬されるような状態をつくっていくことに懸命に努めてきました。お客様の尊敬を得ることが、長期にわたる事業の成功につながると考えていたからです。(要約)

 今日の一言には、「信用は商いの基本だが、信用の上に徳が求められる。尊敬を得ることでお客様との間に絶対的な関係を築くことこそが、真の商いではないだろうか」とあります。

 同著「徳で治める」の項で、ビジネス(商取引)における「徳」の重要性について、名誉会長は次のように述べられています。

 徳で治めるということは、組織をまとめていくことだけに限定されません。お客様と接触する、取引先と交渉するという場合も、人間関係がたいへん大事になってきます。

 中には、駆け引きや接待、おべんちゃらを通じて注文をもらうというケースもあるでしょう。しかしそうではなく、お客様に「この人と取引したい」と惚れられる。つまり、身についた徳によって尊敬され、商売をすることが大事です。

 私は若いころ、製品を開発して、それを製造し、自分で売りに行ったのですが、その時によく「商売をするには信用が第一だ」と言われました。
 もちろん信用第一は今でも変わりませんが、商売でさらに大切なのは、お客様から尊敬されることです。それが最高の状態です。

 お客様に惚れられる、尊敬されるという関係で取引が行われれば、「この人が持ってきた話だったら当社にとっても素晴らしい話に違いない」と初めから信頼してもらえますから、その後の商売も円滑に進みます。

 このことは万般に通じることです。取引をする場合でも人間関係でも、徳でもって結ばれるような関係になることが、非常に大事なのです。(要約)

 私にも、忘れられない思い出があります。
 事業部の開発部門で、ある海外のお客様と共同開発を行っていたときのことです。相手方のプロジェクトリーダーから、「今後ともぜひ京セラの〇〇さんと一緒に仕事をしていきたい」との指名があったのです。
 こちらもグループを組んで対応していたのですが、営業経由で提出する私からのデータや質疑内容等を通して、技術者として、また一人の人間として、その誠実で真摯な取り組み姿勢を評価していただけたのだと、えらく感激しました。

 今後とも、フィロソフィを学び実践し続けることで、徳でもって結ばれるような人間関係をつくっていければと思っています。


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