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『稲盛和夫一日一言』 9月19日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 9月19日(火)は、「人間性のよい人を雇う」です。

ポイント:能力だけで人を採用しようとしてはならない。まずは人間性のよい人を雇うこと。

 2001年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅠ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究課編/非売品)の中で、「バランスのとれた人間性を備える」として、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 バランスのとれた人間とは、何事に対しても常に「なぜ」という疑問を持ち、それを論理的に追求し、解明していこうとする合理的な姿勢と、誰からも親しまれる円満な人間性を合わせもった人のことをいいます。

 いくら分析力に優れ、合理的な行動を貫くスマートさを備えていても、それだけでは、周囲の人々の協力を得ることはできないでしょうし、逆にみんなからいい人だと言われるだけでは、確実に仕事を進めていくことはできません。

 私たちが素晴らしい仕事をしていくためには、科学者としての合理性と、「この人のためなら」と思わせるような人徳を兼ね備えていなければならないのです。(要約)

 また、2007年発刊の『人生の王道 西郷南洲の教えに学ぶ』(稲盛和夫著 日経BP社)の中で、遺訓三九条を示して、名誉会長は次のように述べられています。

 【遺訓三九条】
 今の人、才識あれば事業は心次第に成さるるものと思え共、才に任せて為す事は、危くして見て居られぬものぞ。体ありてこそ用は行わるるなり。
 肥後の長岡先生※1)の如き君子は、今は似たる人をも見ることならぬ様になりたりとて嘆息なされ、古語を書いて授けらる。
 それ天下誠に非ざれば動かず、才に非ざれば治まらず、誠の至る者その動くや速し。才の周(あまね)き者その治むるや広し。才と誠と合し然る後事を成すべし   ※1)長岡是容(これかた)監物 1813~1859)

【訳】
 今の世の中の人は、才能や知識だけあればどんな事業でも心のままにできるように思っているが、才にまかせてすることは、あぶなっかしくて見てはおれないくらいだ。しっかりした内容があってこそ、物事は立派に行われるものだ。
 肥後の長岡先生のような立派な人物は、今は似た人も見ることはできぬようになったといって嘆かれ、昔の言葉を書いて与えられた。

 世の中のことは真心がない限り動かすことはできない。才識、つまり才能と識見がない限り治めることはできない。真心に徹するとその動きも速い。才識があまねく行き渡っていると、その治めるところも広い。
 才識と真心が一緒になったとき、すべてのことは立派にできあがるであろう。

 西郷は知識を身につけ、能力を磨くことが悪いなどとは言っていません。ただ、才識だけを振りかざしても、誠の心がなければうまくいかないと言っているわけです。(要約)

 ここでも、成功を長続きさせるためには、才識と誠の心(優れた人間性)の両方が必要だと述べられています。

 何より優先すべきは、人間性を磨き高めること。
 今日の一言には「今、うちにはこういう優秀な専門家が喉から手がでるほどほしいと思っていても、人間性が伴っていない人は雇ってはなりません」とあります。

 人々は往々にして才識ばかりを求めがちですが、やはりそれだけでは成功は長続きしないのではないでしょうか。誠の心が欠けた事業は、人の血が通わない冷たいものになってしまい、従業員や取引先、また社会の共感や協力が得られなくなってしまうということです。


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