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『稲盛和夫一日一言』5/25(木)

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 5/25(木)は、「失敗から学ぶ」です。

ポイント:人間として成長し、人生を強く生きていくためには、自分自身を客観的に見る素直さと、過去の失敗から学ぼうとする謙虚な心を持って一生懸命努力することが必要。

 2009年発刊の『働き方』(稲盛和夫著 三笠書房)の中で、人生を好転させる方法について、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 子どものころ、両親からは「わけときの難儀は、買(こう)てでんせい(=若いときの苦労は買ってでもしなさい)」とよく鹿児島弁で諭されたのですが、実はそんなことは歯牙(しが)にもかけない、少年、青年時代を過ごしました。

 ところが、大学を卒業して就職した松風(しょうふう)工業という京都にある会社は、そんな小生意気な若者の甘い考えを打ち砕いてしまったのです。
 もともと松風工業は、日本を代表する碍子(がいし)メーカーの一つだったのですが、私が入社したころはすでにその面影はなく、給料の遅配など日常茶飯でいつつぶれてもおかしくないようなオンボロ会社でした。

 不況のさなか、大学の恩師の紹介でやっと入社できた会社ですから、本来であれば「ありがたい」と感謝こそすれ、会社の悪口など言えた義理ではないはずです。それなのに、まだ若く未熟だった私は、自分たちが何の成果もあげていないにもかかわらず、また紹介してくださった方への恩義も忘れて、不平不満ばかり抱えていました。

 入社1年もたたないうちに、同期入社の仲間は次々と辞め、結果的に、私だけがポツンと取り残され、私は一人思い悩みました。
 「このまま会社に残るのか、それとも辞めてしまうのか」追いつめられた私は、悩んだあげく一つの決断をしました。それが「人生の転機」を呼び込むことになったのです。

 「会社を辞めるには、何か大義名分のような確かな理由がないとダメだ。漠然とした不満から辞めたのでは、その後の人生はきっとうまくいかないだろう」ということに思い至ったのです。そして、まずは「働くこと」に打ち込んでみようと決意しました。
 愚痴を口にし、不満を抱くことをやめて、ともかく目の前にある自分の仕事に集中し、心底没頭してみようと、腹をくくり腰を据えて、はじめて「働くこと」と真正面から本気で格闘してみることにしたのです。

 そうすると、当初抱いていた、「会社を辞めたい」「自分の人生はどうなっていくのだろう」といった、悩みや迷いはウソのように消えていきました。それどころか、「仕事がおもしろくて仕方がない」とまで感じられるようになっていったのです。
 その後は、苦労を苦労とも思わず、ますます「ど真剣」に働くようになり、周囲からさらに高い評価をいただけるようになっていきました。私の人生に、思いもかけない好循環が生まれたのです。
(要約)

 そもそも「失敗」とは何でしょうか。辞書には、「やり損なうこと。目的を果たせないこと。予期した効果をあげられないこと。しくじり」といった意味が記されています。

 「失敗」という言葉や行為には、「できれば避けたいもの」「してはならないもの」「人には知られたくないもの」「やったら恥ずかしいもの」といった感情がつきものですが、ケアレスミスは論外として、たいがいの失敗は、何かしらチャレンジしたことの副産物として生じるものではないでしょうか。

 しかし、一つの失敗もぜすに一生を終えることのできる人はいません。ですから、避けられるならそれに越したことはないのでしょうが、周囲の目ばかり気にせず、「自分は失敗などしていない。今回はうまくいかなかったけれど、このチャレンジは次の成功・飛躍に向けての1ステップなのだ」とあくまでも前向きに捉える。

 言い古された言葉ですが、「失敗は成功のもと」。たとえうまくいかなくても、その原因を反省し、次の機会に自身の足らなかった点やアプローチする方法を改めることで、きっとその後の成功が見えてくるはずです。

 自身を客観的に眺めることのできる素直さと、うまくいかなかったという事実から学ぼうとする謙虚な心を持って、残りの人生を懸命に生きていきたいものです。


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