見出し画像

『稲盛和夫一日一言』1/21(土)

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 1/21(土)は、「仕事を好きになる」です。

ポイント:人間は、好きな仕事ならばどんな苦労も厭わない。つまり、自分の仕事を好きになることで、人生が決まってしまうと言っても過言ではない。

 2001年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅠ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究課編/非売品)の中で、仕事を好きになることの意義について、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 「仕事をやり遂げるには大変なエネルギーが必要です。そしてそのエネルギーは、自分自身を励まし、燃え上がらせることで起こってくるのです。
 そこで、自分が燃える一番の方法は、仕事を好きになることです。どんな仕事であっても、それに全力を打ち込んでやり遂げれば、大きな達成感と自信が生まれ、また次の目標へ挑戦する意欲が生まれてきます。その繰り返しのなかで、さらに仕事が好きになります。そうすれば、どんな苦労も苦にならなくなり、素晴らしい成果をあげることができるのです。
 こうした心境にまで高まって初めて、本当に素晴らしい仕事を成し遂げることができるのです。」

 上の文章は、京セラフィロソフィ手帳の「仕事を好きになる」という項目の全文ですが、これはまさに私の実感から来ているものです。
 大学を卒業し初めて入った会社で、仕事を好きになったおかげで、今日の私があるとつくづく思っているものですから、これは人生において本当に大切な要素だと考えているわけです。

 大卒同期入社5人のうち4人までが早々に退社し、愚痴をこぼす相手もいなくなって一人取り残されてしまった私は、「愚痴をこぼしたって天に唾(つば)をするようなものだ。どうせなら、一生懸命仕事に打ち込んでみよう」と気持ちを切りかえ、以来、ファインセラミックスの研究に没頭するようになりました。すると、面白いことに、研究がうまく行きだしたのです。
 元々大学で有機化学を専攻していた私にとって、ファインセラミックスのような無機化学はあまり好きな分野ではありませんでした。

 ところが、研究に打ち込み、いい結果が生まれてくると、だんだん面白くなってきます。面白くなってきますから、さらに打ち込むようになる。すると、またいい結果が出る。そのうち、わずか1年で新しい高周波絶縁材料の合成に日本で初めて、しかも独力で成功することができたのです。

 周囲の人からも大変褒められ、嬉しくなって自信もつきました。そうして、私の人生はそこからうまく回り始めたのです。(要約)

 私も大学院まで有機化学を専攻しており、京セラに入社して総合研究所でファインセラミック材料の研究開発を担当することになったとき、「自分はこの仕事に向いているのだろうか? もちろん、新しいものを創ることが好きでこの会社を希望したのだが、無機化学はかじった程度だし、今から勉強するにしても、周囲の先輩諸氏や業界、学会の先端を走っている人たちに伍してやっていけるのだろうか。対等に勝負できるようになるまでいったいどのくらいの期間が必要なのか」と不安な気持ちでいっぱいでした。

 しかし、新入社員研修期間が終わった次の日から私の全力疾走が始まりました。それは研修の中で、名誉会長が京セラを創業されてまもないころ、当時28名の従業員に対して話された「(マラソンを)100mダッシュで走り続ける」という言葉を教わったからです。

 企業というのはたしかに長丁場だが、企業全体で行うマラソン競争の中で、ウチのような創業したばかりの零細企業がボチボチ走っていてはとても勝負にならない、しかし一生懸命走ったとしても長続きしなくては勝負にならない。どうせ勝負にならないのなら、せめてスタートだけでも一流ランナーと歩調を合わせて、行けるところまで100mダッシュで走り続けてみようではないか。(要約)

 今ではひと昔前まで許容されていたような無茶苦茶な仕事の仕方はできませんが、好きなことに没頭した経験のある人であれば、他人から見たらしんどいと思えるようなことでも、何のストレスも感じることなく、ただただ時間を忘れてのめり込んだときの高揚感は決して忘れることはないでしょう。

 私が100mダッシュで走り続けることができたかどうかは甚だ疑問ですが、「仕事」に限らず人生いくつになっても「好きなこと」に没頭して生きていければと思っています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?