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『稲盛和夫一日一言』 10月13日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 10月13日(金)は、「多角化は登竜門」です。

ポイント:一つの事業の盛衰によって企業の命運が左右されないようにするには、どうしても新規事業を起こして多角化を図っていく必要がある。多角化とは、中小企業が中堅企業へと脱皮するための登竜門。

 2015年発刊の『稲盛和夫経営講演選集 第3巻 成長発展の経営戦略』(稲盛和夫著 ダイヤモンド社)の中で、「中小零細企業が大企業へと発展するためには」として、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 本日は、企業がプリミティブな事業から始まり、大企業へと成長していくプロセスについてお話ししたいと思います。

 扱っている商品が一種類であっても、経営者が誰よりも頑張って仕事をすれば、どんな業界、業種であれ成功できると私は思っています。しかし、そこで満足してしまっては、中小零細企業としての成功に過ぎません。

 例えば、高い利益率をあげているいくつかの京都企業に目を向けると、その創業者たちはみな素人であるがゆえに、革新的なものを好む京都の土壌のもと、既成概念や慣習、慣例といったものにとらわれずに、たいへん自由な発想で事業を始めました。

 しかし彼らは、一生懸命仕事を頑張ると同時に、「もし単品生産が時代の変遷とともにダメになったらこの会社は潰れてしまう」という危機感を常に持っていました。また、この程度の事業規模では、従業員を養っていくには足りないという飢餓感も持っていました。

 そうした危機感と飢餓感から、優秀な技術者を探し求めたり、大学を訪ねて優れた技術を導入したり、外国からも技術導入をしていきます。それがさらに豊かな創造性を育み、創意工夫を生み、研究開発を成功へと導いていきました。

 危機感と飢餓感を原動力として創意工夫を重ね、単品生産では将来が不安だと考え、間断なく新製品、新技術の開発に努め、企業を拡大発展させていく。それが中小零細企業が中堅企業へと成長していく過程なのです。

 では、そこから先の段階にいくには、何をすればいいのか。そこでは、会社の目的をどう設定するかが大事になります。そのとき、欲望をベースに数値目標を決めると、ひとたびその目標を達成してしまうと、危機感や飢餓感が消え、満足感が出てきてしまいます。そうすると、そこから大きく登ることなく、中堅企業のまま横ばいを続けることになるでしょう。

 中堅企業から大企業まで成長させていくには、考え方を変えなくてはなりません。つまり、会社の目標や目的を、経営者の欲望をベースとしない、もっと次元の高いものにしていかなければならないのです。(要約)

 また名誉会長は、盛和塾生との経営問答の中で、多角化について次のように述べられています。

 多角化というのは、すさまじい坂道を登るようなものです。きつい坂道を登り、ひと山越えると、平坦な大地になる。その大地がワンステップで、そこからまた多角化という坂道を登らなければならない。多角化という坂道を登って台地にたどり着き、またその次の坂道を越えて新たな台地にたどり着く。それを繰り返していくのが、中堅企業が大企業へと発展するための道のりなのです。(要約)

 「地味な努力を積み重ねる」という京セラフィロソフィには、次のように説かれています。

 大きな夢や願望を持つことは大切なことですが、いくら大きな目標を掲げようとも、日々の仕事のなかでは、一見地味で単純と思われるようなことをしなければならないものです。(中略)
 偉大なことは最初からできるのではなく、地味な努力の一歩一歩の積み重ねがあって初めてできるということを忘れてはなりません。

 「今日よりは明日、明日よりは明後日」という気持ちを忘れることなく、より高みを目指して毎日を懸命に生きる。そうした積極的な人生を過ごしていきたいものです。


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