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『稲盛和夫一日一言』10/26(水)

こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 10/26(水)は、「大企業の責任」です。

ポイント:大企業は経済社会の健全な発展に貢献するため、自らの強大な力を自己管理するルールを確立するよう努めなければならない。

 2016年発刊の『稲盛和夫経営講演選集 第6巻 企業経営の要諦』(稲盛和夫著 京セラ株式会社編 ダイヤモンド社)の中で、稲盛名誉会長は、日本経済に足らないものとして次のように述べられています。

 近年、日本経済が伸び悩んだこともあって、国民の間に停滞感、閉塞感が漂っています。さらに、東日本大震災の影響からか、社会全体に、同情心や哀れみ、またきれいでやさしい心ばかりが流行っているように思います。もちろん、人を思いやる、美しい心は必要ですが、それだけでは、企業は市場競争に敗れ、淘汰されてしまいます。また国家も、グローバル競争の中で、衰退していかざるをえません。混沌とした状況の中であるからこそ、状況に流されず、環境に負けないだけの「ナニクソ」という強い精神、つまり「闘争心」が必要だと、私は考えています。

 日本の大企業には、確かにスマートで、知性も高く立派そうな経営幹部が多く存在しています。しかし、今までに経験したことがない、困難な問題にぶちあたってしまえば、簡単に折れてしまうような人が多いのではないでしょうか。それは、日本を代表する総合エレクトロニクス企業、また半導体メーカーが脆くも崩れ始めていることにも表れているのではないかと思います。海外のメーカーに負けて、腰抜けみたいになって、すぐに協力や出資を依頼したり、挙句の果てには事業を撤退したり、売却したりしていく。そこではやはり、すさまじい根性をもって、闘争心をたぎらせ、独立自尊の精神で経営にあたらなければ、絶対にうまくいくはずがないと、私は思います。(要約)

 メディアでは、連日のように大手有名企業の不祥事が報道されています。ネット社会となった現在、それはまたたく間に世間の知るところとなり、その企業は、法令違反による行政指導・処分を受けるだけでなく、株価の暴落や商品の不買運動など、莫大な損失を被ることも珍しくありません。

 大企業が自らの強大な力をコントロールするために、一般企業よりもはるかに厳しい自己管理のルールを確立し、自らを厳しく律していくための指針となる考え方について、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 経営において美しい心の必要性を知り、それを身につけるべく、日々努めていれば、たとえ激しく猛々しい闘争心をもって経営に臨んだとしても、決して誤った方向には行きません。美しい心が羅針盤となり、真っすぐに正しい方向へと進んでいくことができる、と私は信じています。

 このことは、経営に限らず人生においても当てはまることではないでしょうか。「美しい心」と「猛々しいまでの闘争心」、大きく胸をはって前向きに生きていくために、忘れてはならないものだと思います。 


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