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『稲盛和夫一日一言』5/15(月)

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 5/15(月)は、「真の無頼性(ぶらいせい)」です。

ポイント:どんな分野であれ、イノベーションを起こそうとするなら、自由な精神がなければ真の成功を期すことはできない。他に頼らず自分に頼る。創造的な領域では、真の無頼性が求められる。

 2009年発刊の『働き方』(稲盛和夫著 三笠書房)の中で、革新的な仕事をしていくために必要なこととして、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 技術開発の分野において、革新的な仕事をしていくためには、専門知識や蓄積された技術だけでは不十分で、そこに仕事に対する強い思いがなければなりません。とくに、未知の分野を切り開いていくためには、「何としてもつくり上げたい」といった、強烈な思いが絶対に必要です。

 そのような強い思いがあるからこそ、未知の領域で遭遇するいかなる困難に直面しようとも、それを克服して仕事を進めていくことができ、その結果として、常識を超えた画期的なイノベーションを成し遂げることができるのです。
 先が見えない状況の中にあっても、進路を誤ることなく、目的地にたどり着くために必要なのが、仕事に対する強い「思い」なのです。

 日々のたゆまぬ努力と創意工夫こそが、イノベーションへと至る「確かな地図」であり、成功に至る最も「確実な道」です。
 「日々の創意工夫こそが真の創造と成功を生む」 自分の人生を振り返り、すぐに頭に浮かぶのが、あまりにも平凡すぎるこの教訓です。

 たしかに、自身がたどってきた人生を振り返ったとき、誰でも知っているような「通い慣れた道」を歩いてきたことはなかったように思います。
 昨日通った同じ道を今日も通る、また他の人がすでに通っている道を歩むことは私の性に合いませんでしたから、常に誰も通ったことがないような、新しい道を選んで歩き続けてきました。

 そのような人の通らない道は、けっして平坦なものではありません。しかし、人と同じ道を歩いてばかりいては、大きな成果を期待することは難しいでしょう。
 歩きづらくても、常に新しい発見があり、しかも大きな成果が期待できる道を歩くようにする。そうした未踏の道こそが、苦労は伴うものの、想像もできないような、素晴らしい未来へと導いてくれるのです。
(要約)

 「無頼」とは、「頼みにするところのないこと、またそのさま」といった意味がありますが、一方、「一定の職業を持たず無法なことをすること、またそのさまやその人、やくざ」といった意味があることから、日常会話で使われる機会は少ないように思います。

 今日の一言には、「イノベーションを起こそうとするなら、自由な精神がなければ、真の成功を期すことはできない」とあります。

 ここでは、まさに「無頼」の意味の前半部分、他に頼ることなく、自分の中に基準を求めて、自由な心で生きていく、ということを「真の無頼性」と言っています。

 しかし、誰にも何にも頼ることなく生きていくということは、大変難しいことです。人は自分に自信が持てないとき、無意識に周囲を見回し、少しでも頼りにできそうな人や物があれば、身近に取り込んで我がものにしようとします。
 「溺れる者は藁(わら)をもすがる」ということわざがありますが、窮地に立たされれば、誰しも役に立たないものにまで頼ろうとするのです。

 ですから、独立心を持って人に頼らないようにしましょうとか、安易に妥協したりせず、分かったようなふりをしないように心がけましょう、などと言われてそれを実践しようとしても、そこに「真の無頼性」、本当に自由な精神を自分のものに出来ていなければ、そうしたことはすべて単なるきれい事で終わってしまうわけです。

 「創造的な領域では、真の無頼性が求められる」 
 芸術家をイメージすると理解しやすいと思いますが、このことを言葉として理解するだけでなく、日々の生活・仕事の中でどれほど実践していくことができるかによって、自身が到達できるレベルも決まってしまうのではないでしょうか。

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